糖尿病腎症病期 (糖尿病性腎症病期分類2023)
詳細情報
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基本情報
正式名称: 糖尿病性腎症病期分類
日本語名: 糖尿病性腎症病期分類2023
対象年齢: 糖尿病患者(年齢制限なし)
評価目的: 糖尿病性腎症進行度評価
実施時間: 5分程度
開発背景
開発者: 糖尿病性腎症合同委員会
発行年: 2023年
理論的基盤: 尿アルブミン排泄量と推算糸球体濾過量による分類
著作権・使用条件
- 策定機関: 糖尿病性腎症合同委員会
- 構成学会: 日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本透析医学会
- 公開年: 2023年
情報なし
商用利用
不可
許諾
必要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Joint Committee on Diabetic Nephropathy (2014; revised 2023)
日本語版: Original Japanese; updated by JSN and JDS
利用時の推奨事項
日本腎臓学会・日本糖尿病学会に許諾を求める。分類を引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 2つの主要指標(尿アルブミン/Cr比、eGFR)
- サブスケール数: なし(単一尺度)
- 評価方式: 尿アルブミン/クレアチニン比とeGFRによる2軸評価
病期分類詳細
1. 第1期 - 正常アルブミン尿期
- 尿アルブミン/Cr比: 30mg/gCr未満
- eGFR: 30mL/分/1.73m²以上
- 意味: 腎症前期、定期的な尿アルブミン測定が必要
2. 第2期 - 微量アルブミン尿期
- 尿アルブミン/Cr比: 30-299mg/gCr
- eGFR: 30mL/分/1.73m²以上
- 意味: 早期腎症期、血糖・血圧の厳格な管理
3. 第3期 - 顕性アルブミン尿期
- 尿アルブミン/Cr比: 300mg/gCr以上
- eGFR: 30mL/分/1.73m²以上
- 意味: 顕性腎症期、腎機能低下の監視強化
4. 第4期 - GFR高度低下・末期腎不全期
- eGFR: 30mL/分/1.73m²未満
- 尿アルブミン値: 問わず
- 意味: 腎不全期、透析準備・腎代替療法の検討
5. 第5期 - 腎代替療法期
- 状態: 透析療法中または腎移植後
- 意味: 透析療法期、腎代替療法実施中
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 厚労省研究班の成績に基づく
- 予後予測: 腎・心血管・総死亡を勘案した分類
妥当性
- 予後予測性: 透析導入、心血管イベント予測に有用
- 国際整合性: CKD重症度分類との整合性を重視
- 構成妥当性: 高齢化、肥満者増加、新規治療薬開発により多様化した糖尿病患者の腎疾患に対応
得点化・解釈
基本得点
数値得点ではなく病期分類による評価(第1期から第5期)
病期の目安
- 第1期: 腎症前期、定期的な尿アルブミン測定が必要
- 第2期: 早期腎症期、血糖・血圧の厳格な管理
- 第3期: 顕性腎症期、腎機能低下の監視強化
- 第4期: 腎不全期、透析準備・腎代替療法の検討
- 第5期: 透析療法期、腎代替療法実施中
実施上の注意点
対象者
- 糖尿病患者すべて
- 定期的な経過観察が必要
評価者
- 糖尿病専門医、腎臓専門医、内科医
- 検査値の正確な測定と解釈が必要
制限事項
- 必ずしも第1期から第5期まで順次進行するものではない
- 他の腎疾患との鑑別診断が重要(特にeGFR低下のみでアルブミン尿がない場合)
- 薬剤使用の目安を示すものではない
- 第3期の判定にはeGFR≥30mL/分/1.73m²が必須条件
参考文献
- 糖尿病性腎症合同委員会・糖尿病性腎症病期分類改訂ワーキンググループ:糖尿病性腎症病期分類2023の策定. 糖尿病 2023; 66(11): 797-805
- 糖尿病性腎症合同委員会・糖尿病性腎症病期分類改訂ワーキンググループ:糖尿病性腎症病期分類2023の策定. 日腎会誌 2023; 65(7): 847-856