急性膵炎重症度 (厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008年))
詳細情報
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基本情報
正式名称: 厚生労働省急性膵炎重症度判定基準
日本語名: 厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(2008年)
対象年齢: 成人
評価目的: 急性膵炎重症度評価
実施時間: 10-15分
開発背景
開発者: 厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班
発行年: 2008年
理論的基盤: 多因子による重症度予測システム
著作権・使用条件
厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班(2008年)による公的基準
パブリックドメイン
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Ministry of Health, Labour and Welfare, Japan
日本語版: Japanese original
利用時の推奨事項
厚生労働省を引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 11項目(予後因子9項目 + 造影CT評価2項目)
- サブスケール数: 2つ(予後因子スコア、造影CT Grade)
- 評価方式: 各項目1点または0点の加算方式
評価項目詳細
A. 予後因子(9項目) - 各1点
- 循環系: Base Excess≦-3mEq/L、またはショック(収縮期血圧≦80mmHg)
- 呼吸系: PaO2≦60mmHg(room air)、または呼吸不全(人工呼吸管理が必要)
- 腎機能: BUN≧40mg/dL(or Cr≧2mg/dL)、または乏尿(輸液後も1日尿量が400mL以下)
- 逸脱酵素: LDH≧基準値上限の2倍
- 血液系: 血小板数≦10万/mm3
- 代謝系: 総Ca≦7.5mg/dL
- 炎症: CRP≧15mg/dL
- 全身炎症: SIRS診断基準における陽性項目数≧3
- 年齢: 年齢≧70歳
B. 造影CT Grade(2項目)
- 炎症の膵外進展度: 前腎傍腔(0点)、結腸間膜根部(1点)、腎下極以遠(2点)
- 膵の造影不良域: 各区域に限局または膵周辺のみ(0点)、2つの区域にかかる(1点)、2つの区域全体またはそれ以上(2点)
信頼性・妥当性
信頼性
- 検者間信頼性: 高い一致度(特に明確な基準項目)
- 再現性: 客観的指標による高い再現性
妥当性
- 感度: 予後因子で重症化予測
- 特異度: CT Gradeで局所合併症予測
- 予測的妥当性: 2016年全国調査で検証済み
得点化・解釈
基本得点
- 予後因子: 9項目の合計(0-9点)
- CT Grade: 2項目の合計(0-4点)→Grade 1(1点以下)、Grade 2(2点)、Grade 3(3点以上)
重症度判定の目安
- 軽症: 予後因子2点以下 かつ CT Grade 1以下
- 重症: 予後因子3点以上 または CT Grade 2以上
- 予後因子のみ重症: 致命率9.0%
- CT Gradeのみ重症: 致命率2.1%
- 両方重症: 致命率19.1%
実施上の注意点
対象者
- 急性膵炎診断基準を満たした患者
- 成人患者(小児は対象外)
評価者
- 急性膵炎診療に従事する医師
- 造影CT読影能力を有する医師
制限事項
- 造影剤アレルギー等で造影CT施行不可の場合は予後因子のみで判定
- 発症48時間以内は予後因子スコアの繰り返し評価が必要
- SIRS基準の正確な評価が必要
参考文献
- 武田和憲、大槻眞、須賀俊博、他. 急性膵炎重症度判定基準最終改訂案の検証. 厚労省科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 難治性膵疾患に関する調査研究. 平成19年度 総括・分担研究報告書 2008: 29-33.
- 片岡慶正. 急性膵炎重症度判定基準2008改訂 検証と今後の展開. 日本消化器病学会雑誌 2008; 105(8): 1166-73.