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アミロイドーシス重症度 (全身性アミロイドーシス重症度分類)

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基本情報

正式名称: 全身性アミロイドーシス重症度分類

日本語名: 全身性アミロイドーシス重症度分類

対象年齢: 全年齢(発症年齢により病型が異なる)

評価目的: 全身性アミロイドーシス評価

実施時間: 15-20分

開発背景

開発者: 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「アミロイドーシスに関する調査研究班」

発行年: 最新改訂(継続的に更新、2020年診断基準改定)

理論的基盤: 指定難病制度における重症度分類

著作権・使用条件

厚生労働省により公開されている指定難病診断基準(告示番号28番)に基づく分類システム

パブリックドメイン
原開発者: Ministry of Health, Labour and Welfare, Japan
日本語版: Japanese original
利用時の推奨事項 厚生労働省を引用

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 5段階評価(1-5度)
  • サブスケール数: なし(単一尺度)
  • 評価方式: アミロイド沈着確認と臓器機能障害の組み合わせ

重症度分類詳細

1. 1度 - 沈着確認・機能障害なし

  • 組織学的にアミロイド沈着が確認される、もしくは疑わせる検査所見がある
  • アミロイド沈着による明らかな臓器機能障害を認めない

判定条件:

  • 組織学的確認あり OR 検査所見あり
  • AND 臓器機能障害なし

2. 2度 - 単一臓器軽度障害

  • 組織学的にアミロイド沈着が確認される、もしくは疑わせる検査所見がある
  • アミロイド沈着による軽度の臓器機能障害を単一臓器に認める

判定条件:

  • 組織学的確認あり OR 検査所見あり
  • AND 障害臓器数 = 1
  • AND 中等度以上の障害なし

3. 3度 - 複数臓器障害

  • 組織学的にアミロイド沈着が確認される、もしくは疑わせる検査所見がある
  • アミロイド沈着による複数の臓器機能障害を認める

判定条件:

  • 組織学的確認あり OR 検査所見あり
  • AND 障害臓器数 ≧ 2
  • AND 中等度以上の障害なし(全て軽度)

4. 4度 - 中等度以上障害

  • 組織学的にアミロイド沈着が確認される(必須
  • アミロイド沈着による中等度以上の臓器機能障害を単一もしくは複数の部位に認める

判定条件:

  • 組織学的確認あり(必須
  • AND 中等度以上の障害 ≧ 1
  • AND 重度障害 < 2

注意: 4度以降は組織学的確認が必須要件

5. 5度 - 重度複数臓器障害

  • 組織学的にアミロイド沈着が確認される(必須
  • アミロイド沈着による重度の臓器機能障害を複数の部位に認める

判定条件:

  • 組織学的確認あり(必須
  • AND 重度障害 ≧ 2

病型分類

指定難病対象病型

  1. 免疫グロブリン性アミロイドーシス(AL/AH)

    • ALアミロイドーシス: 免疫グロブリン軽鎖由来
    • AHアミロイドーシス: 免疫グロブリン重鎖由来
    • AHLアミロイドーシス: 重鎖と軽鎖の両方が検出される混合型
    • 旧分類: 原発性アミロイドーシス、骨髄腫関連
  2. 遺伝性トランスサイレチン(ATTRv)アミロイドーシス

    • 旧称: 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)
    • トランスサイレチン遺伝子変異による
    • 常染色体優性遺伝
  3. 野生型トランスサイレチン(ATTRwt)アミロイドーシス

    • 旧称: 老人性TTRアミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス
    • 遺伝子変異を伴わない
    • 高齢者に多い
  4. 遺伝性全身性アミロイドーシス(ATTRv除く)

    • ゲルソリン、アポリポ蛋白、リゾチーム、フィブリノーゲンなど

混合型・併発型の注意

  • AHL型: 免疫グロブリン重鎖と軽鎖の両方が検出される稀な病型
  • MGUS併発: 野生型ATTR(ATTRwt)に意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)が併存する場合があり、鑑別が重要

臓器障害の程度定義

軽度

  • 日常生活への影響が限定的
  • 症状はあるが自立可能
  • 例: 軽度の蛋白尿、軽い感覚障害、軽度の心機能低下

中等度

  • 日常生活に明らかな支障
  • 治療介入が必要
  • 例: ネフローゼ症候群、中等度の心不全、明らかな末梢神経障害

重度

  • 日常生活が著しく制限
  • 継続的な医学的管理が必須
  • 例: 腎不全、重症心不全、高度の神経障害

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: 国の指定難病制度に基づく標準化された基準
  • 評定者間信頼性: 専門医による診断基準統一
  • テスト再テスト信頼性: 病状変化に応じた再評価システム

妥当性

  • 構成妥当性: 臨床経過と治療効果との相関性確認済み
  • 予測妥当性: 医療費助成必要性の予測指標として機能
  • 基準関連妥当性: 国際的なアミロイドーシス重症度評価と整合

得点化・解釈

基本得点

臓器機能障害の程度と影響臓器数に基づく1-5度分類

重症度の目安

  • 1度: 沈着確認のみ、臓器機能障害なし
  • 2度: 単一臓器の軽度障害
  • 3度: 複数臓器の軽度障害
  • 4度: 中等度以上の臓器障害あり
  • 5度: 重度の複数臓器障害

医療費助成の目安

  • 1度: 原則対象外(ただし高額医療継続の場合は対象となることあり)
  • 2度以上: 医療費助成対象
  • 重要事項: 2度未満でも高額医療継続が必要な場合は助成対象

評価対象臓器

神経、心臓、腎臓、消化管、呼吸器、泌尿器、眼、骨・関節、内分泌など全身臓器

実施上の注意点

対象者

  • 全身性アミロイドーシス診断が確定または疑われる患者
  • 指定難病対象病型: 免疫グロブリン性(AL/AH)、遺伝性ATTR(ATTRv)、野生型ATTR(ATTRwt)

評価者

  • アミロイドーシス診療に精通した専門医
  • 組織診断結果の適切な解釈が可能な医師
  • 多臓器評価のため、必要に応じて各専門科と連携

制限事項

  • アミロイド沈着確認部位と臓器機能障害部位は必ずしも一致しない
  • 原因蛋白質の同定および病型診断を行うことが望ましい
  • 治療開始後は直近6ヵ月間で最も悪い状態で判定
  • 多発性骨髄腫の診断基準に合致するものは除外

組織診断の推奨部位

  • 腹壁脂肪吸引生検(簡便で侵襲が少ない)
  • 消化管生検(胃前庭部、十二指腸球部、直腸)
  • 皮膚生検
  • 神経生検
  • 心筋生検(心アミロイドーシスが疑われる場合)

重要: 消化管生検は粘膜下層まで採取することが重要

参考文献

  • 厚生労働省: 28 全身性アミロイドーシス(指定難病診断基準)
  • アミロイドーシスに関する調査研究班: 全身性アミロイドーシス改定診断基準2020
  • 日本アミロイドーシス学会監修: アミロイドーシス診療ガイドライン2025