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ベーチェット病重症度 (ベーチェット病重症度基準)

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基本情報

正式名称: ベーチェット病重症度基準

日本語名: ベーチェット病重症度基準

対象年齢: 全年齢(発症ピークは20-40歳)

評価目的: ベーチェット病重症度評価

実施時間: 5-10分

開発背景

開発者: 厚生労働省

発行年: 2010年(診断基準小改訂)

理論的基盤: 厚生労働省ベーチェット病診断基準に基づく臨床重症度分類

著作権・使用条件

厚生労働省により定められた公的基準であり、医療現場での標準的使用が認められています。

パブリックドメイン
原開発者: Ministry of Health, Labour and Welfare, Japan
日本語版: Japanese original
利用時の推奨事項 厚生労働省を引用

尺度構成

全体構造

  • 総段階数: 6段階(Stage I~VI)、ただし臨床使用上Stage IからVまでを評価
  • サブスケール数: なし(単一評価軸)
  • 評価方式: 症状の組み合わせと重症度による段階的分類

Stage分類詳細

Stage I - 基本症状のみ

  • 眼症状以外の主症状(口腔粘膜アフタ性潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍)のみられるもの

Stage II - 軽度眼症状または副症状の追加

  • Stage Iの症状に虹彩毛様体炎が加わったもの
  • Stage Iの症状に関節炎や副睾丸炎が加わったもの

Stage III - 網脈絡膜炎

  • 網脈絡膜炎(網膜ぶどう膜炎)がみられるもの

Stage IV - 重度眼症状または活動性特殊病型

  • 失明の可能性があるか失明に至った網脈絡膜炎およびその他の眼合併症を有するもの
  • 活動性、ないし重度の後遺症を残す特殊病型(腸管ベーチェット病、血管ベーチェット病、神経ベーチェット病)

Stage V - 生命予後に関わる病態

  • 生命予後に危険のある特殊病型ベーチェット病
  • 中等度以上の知能低下を有する進行性神経ベーチェット病

Stage VI - 死亡

  • ベーチェット病の症状に基づく原因による死亡(臨床評価では使用しない)

信頼性・妥当性

信頼性

  • 評定者間信頼性: 診断基準に基づく客観的評価により一定の信頼性あり

妥当性

  • 診断的妥当性: 厚生労働省診断基準との高い整合性
  • 予後予測妥当性: 視機能予後、生命予後との相関性
  • 治療反応性: 重症度に応じた治療効果の差異を反映

得点化・解釈

重症度分類の目安

  • Stage I: 医療費助成対象外(条件により対象となる場合あり)
  • Stage II以上: 医療費助成対象
  • Stage IV以上: 集学的治療を要する重症例
  • Stage V: 生命予後に関わる最重症例

固定期(寛解)判定

  • 条件: Stage I・IIで活動期病変が1年間以上認められない
  • 活動期病変の定義: ぶどう膜炎、皮下血栓性静脈炎、結節性紅斑様皮疹、外陰部潰瘍(女性の性周期に連動したものを除く)、関節炎症状、腸管潰瘍、進行性の中枢神経病変、進行性の血管病変、副睾丸炎のいずれかがみられ、理学所見あるいは検査所見から炎症兆候が明らかなもの
  • 注意: 判定基準に合わなくなった場合は固定期から除外

失明の定義

  • 両眼の視力の和が0.12以下
  • または両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの

実施上の注意点

対象者

  • ベーチェット病の診断が確定している患者
  • 完全型、不全型および特殊病型が対象

評価者

  • 眼科的診察を含む包括的評価が可能な医師
  • ベーチェット病の病態を理解している専門医

制限事項

  • 治療開始後は適切な医学的管理下での直近6ヶ月間の最悪状態で判定
  • 症状の一時的変動ではなく持続的な状態で評価
  • 病名診断に用いる臨床症状、検査所見等は、いずれの時期のものを用いても差し支えない(確認可能なものに限る)

参考文献

  • 厚生労働省: 指定難病56 ベーチェット病(平成24年度版)
  • 日本ベーチェット病学会: ベーチェット病診療ガイドライン2020