Shaffer分類
詳細情報
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基本情報
正式名称: Shaffer Classification
日本語名: Shaffer分類
対象年齢: 制限なし(緑内障疑いのある全年齢)
評価目的: 隅角開大度評価
実施時間: 5-10分程度
開発背景
開発者: Robert N. Shaffer
発行年: 1960年代
理論的基盤: 隅角鏡検査による隅角構造の客観的評価
著作権・使用条件
公的な分類システムであり、特定の個人や企業による著作権は存在しない。日本緑内障学会の緑内障診療ガイドラインで標準的な評価方法として採用。
パブリックドメイン
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Shaffer RN (1960)
日本語版: Japanese ophthalmology use
利用時の推奨事項
自由に使用。引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 4方向の隅角評価(上方・下方・鼻側・耳側)
- 評価方式: Grade0-4の5段階評価
- 測定単位: 隅角線維柱帯と周辺虹彩のなす角度(度)
Grade分類詳細
Grade 4(広隅角)- 35-45度
- 最も広い隅角の状態
- 毛様体帯が容易に可視化できる
- 隅角閉塞は起こり得ない
- 近視眼や無水晶体眼に特徴的
Grade 3(広隅角)- 25-35度
- 開放隅角の状態
- 少なくとも強膜突起まで識別可能
- 隅角閉塞は起こり得ない
Grade 2(狭隅角軽度)- 20度
- 軽度の狭隅角
- 線維柱帯のみ識別可能
- 隅角閉塞は起こる可能性がある
Grade 1(狭隅角極度)- ≤10度
- 極度に狭い隅角
- Schwalbe線のみ可視
- 隅角閉塞がおそらく起こる
Grade 0(閉塞隅角)- 0度
- 隅角が完全に閉塞している状態
- 角膜楔の頂点が識別不能
- 隅角閉塞が生じている
信頼性・妥当性
信頼性
- 評定者間信頼性: 高い(熟練した検査者間で良好な一致性)
- テスト再テスト信頼性: 高い(隅角の構造的特性は安定)
妥当性
- 構成妥当性: 緑内障病型分類との高い相関
- 予測妥当性: 急性緑内障発作リスクの予測に有効
- 臨床妥当性: 国際的な緑内障診療ガイドラインで標準採用
得点化・解釈
基本得点
各方向の隅角をGrade 0-4で評価し、最小グレードで総合判定を行う
臨床的意義の目安
- Grade 3-4(広隅角): 隅角閉塞は起こり得ない(開放隅角)
- Grade 2(狭隅角軽度): 隅角閉塞は起こる可能性がある
- Grade 1(狭隅角極度): 隅角閉塞がおそらく起こる
- Grade 0(閉塞隅角): 隅角閉塞が生じている
抗コリン薬投与時の判定基準
- Grade 3以上: 安全に使用可能(急性発作の危険性なし)
- Grade 1-2: 注意が必要(隅角閉塞が起き、急性緑内障発作が生じる可能性)
- Grade 0: 禁忌(既に隅角閉塞)
リスク評価
- 低リスク: Grade 3-4(急性発作の危険性なし)
- 中リスク: Grade 2(隅角閉塞の可能性)
- 高リスク: Grade 1(隅角閉塞がおそらく起こる)
- 緊急: Grade 0(既に隅角閉塞)
実施上の注意点
対象者
- 緑内障が疑われるすべての患者
- 抗コリン薬投与予定の患者
- 緑内障家族歴のある患者
評価者
- 眼科専門医または十分な研修を受けた視能訓練士
- 隅角鏡検査の技術習得が必須
- Goldman型3面鏡などの適切な器具の使用
制限事項
- 角膜混濁や前房出血時は評価困難
- 患者の協力が必要(接触型検査のため)
- 局所麻酔が必要な場合がある
- 観察者の技量による評価のばらつき
参考文献
- 日本緑内障学会編: 緑内障診療ガイドライン第5版(2022年)
- 厚生労働省医薬安全対策課: 抗コリン作用を有する薬剤における禁忌「緑内障」等に係る「使用上の注意」の改訂について(令和元年5月31日)
- Shaffer RN: Primary glaucomas. Gonioscopy, ophthalmoscopy and perimetry. Trans Am Acad Ophthalmol Otolaryngol 64:112-127, 1960
- American Academy of Ophthalmology: Gonioscopic Grading Systems (2021)