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Sensory Profile (短縮版感覚プロファイル(SSP))

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基本情報

正式名称: Sensory Profile

日本語名: 短縮版感覚プロファイル(SSP)

対象年齢: 3 歳~ 10 歳(標準化対象)

評価目的: 感覚統合評価

実施時間: 約 10 分

開発背景

開発者: 原版開発者 Winnie Dunn(カンザス大学)1999 年、短縮版開発者 McIntosh, Miller, & Shyu (1999)

発行年: 1999 年

理論的基盤: Dunn の感覚処理モデル(4 象限理論)

著作権・使用条件

  • 原版著作権: Winnie Dunn
  • 短縮版開発: McIntosh, D. N., Miller, L. J., & Shyu, V. (1999)
  • 日本版著作権: 日本文化科学社(2015 年)
情報なし
原開発者: Winnie Dunn (1999, Pearson Assessments)
日本語版: Pearson Japan (translated and validated)
利用時の推奨事項 Pearson Japanの公式日本語版を使用。適応には許諾取得。権利問題が生じた場合はSensory Processing Measureなどの代替を検討

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 38 項目
  • サブスケール数: 7
  • 評価方式: 5 段階評価(いつも=1、ひんぱんに=2、ときどき=3、まれに=4、しない=5)

サブスケール詳細

1. 触覚過敏性(Tactile Sensitivity)- 7 項目

  • 触覚刺激に対する過敏反応
  • 特定の感触や軽い接触への嫌悪
  • 質問例: 手が汚れることを嫌がる、特定の服の感触を嫌がる

2. 味覚・嗅覚過敏性(Taste/Smell Sensitivity)- 4 項目

  • 食べ物の味や匂いに対する過敏性
  • 食事に関する選択性・回避行動
  • 質問例: 特定の食べ物の味を嫌がる、においに敏感に反応する

3. 動きへの過敏性(Movement Sensitivity)- 3 項目

  • 前庭感覚刺激に対する過敏反応
  • 動きや高さを伴う活動への恐怖・回避
  • 質問例: ブランコを嫌がる、高いところを怖がる

4. 低反応・感覚探求(Underresponsive/Seeks Sensation)- 7 項目

  • 感覚刺激への気づきの低さ
  • 感覚刺激を求める行動
  • 質問例: 話しかけても聞こえていないような様子、強い圧迫を求める

5. 聴覚フィルタリング(Auditory Filtering)- 6 項目

  • 聴覚情報の選択的注意の困難
  • 背景雑音の中での集中困難
  • 質問例: 騒がしい場所では集中できない、複数の音がすると混乱する

6. 低活動・弱さ(Low Energy/Weak)- 6 項目

  • 筋力の低さや持久力の問題
  • 活動レベルの低さ
  • 質問例: 疲れやすい、握る力が弱い

7. 視覚・聴覚過敏性(Visual/Auditory Sensitivity)- 5 項目

  • 視覚・聴覚刺激に対する過敏反応
  • 光や音に対する回避行動
  • 質問例: 明るい光を避ける、掃除機の音を嫌がる

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: Cronbach's α = 0.68-0.92(サブスケール別)
  • テスト再テスト信頼性: 良好な安定性
  • 評定者間信頼性: 高い一致率

妥当性

  • 感度: 自閉スペクトラム症児の 95%で異常検出
  • 特異度: 定型発達児との高い判別能力
  • その他: 判別妥当性(>95%で感覚調整困難児の識別)、構成概念妥当性(7 因子構造の確認)、併存妥当性(生理学的測定値との相関)

得点化・解釈

基本得点

  • 各項目 1-5 点(いつも=1、しない=5)
  • サブスケール別合計点
  • 総合得点(38-190 点)

サブスケール別カットオフ値の目安

触覚過敏性(7-35 点)

  • 標準的: 30-35 点
  • 疑いのある違い: 27-29 点
  • 明らかな違い: 7-26 点

味覚・嗅覚過敏性(4-20 点)

  • 標準的: 15-20 点
  • 疑いのある違い: 12-14 点
  • 明らかな違い: 4-11 点

動きへの過敏性(3-15 点)

  • 標準的: 13-15 点
  • 疑いのある違い: 11-12 点
  • 明らかな違い: 3-10 点

低反応・感覚探求(7-35 点)

  • 標準的: 27-35 点
  • 疑いのある違い: 24-26 点
  • 明らかな違い: 7-23 点

聴覚フィルタリング(6-30 点)

  • 標準的: 23-30 点
  • 疑いのある違い: 20-22 点
  • 明らかな違い: 6-19 点

低活動・弱さ(6-30 点)

  • 標準的: 26-30 点
  • 疑いのある違い: 24-25 点
  • 明らかな違い: 6-23 点

視覚・聴覚過敏性(5-25 点)

  • 標準的: 19-25 点
  • 疑いのある違い: 16-18 点
  • 明らかな違い: 5-15 点

総合得点(38-190 点)

  • 標準的: 155-190 点
  • 疑いのある違い: 142-154 点
  • 明らかな違い: 38-141 点

実施上の注意点

対象者

  • 3-10 歳の児童(標準化対象年齢)
  • 感覚処理困難が疑われる場合
  • 自閉スペクトラム症等の発達障害のスクリーニング
  • 感覚統合療法の評価

評価者

  • 対象児をよく知る保護者・教師
  • 十分な観察期間(最低 1 か月)が必要
  • 専門知識を持つ検査者による集計と解釈

制限事項

  • 年齢制限: 標準化は 3-10 歳対象
  • スクリーニング用: 詳細診断には完全版が必要
  • 他者評定: 主観的評価の限界
  • 単独診断不可: 他の評価との組み合わせが必要

参考文献

  • McIntosh, D. N., Miller, L. J., & Shyu, V. (1999). Development and validation of the Short Sensory Profile. In W. Dunn (Ed.), Sensory Profile: User's manual (pp. 59–73). San Antonio, TX: Psychological Corporation
  • Dunn, W. (1999). Sensory Profile User's Manual. The Psychological Corporation
  • Tomchek, S. D., & Dunn, W. (2007). Sensory processing in children with and without autism: A comparative study using the Short Sensory Profile. American Journal of Occupational Therapy, 61(2), 190-200
  • 日本版感覚プロファイル ユーザーマニュアル(2015)日本文化科学社