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Seddon分類 (Seddon 分類(末梢神経損傷分類))

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基本情報

正式名称: Seddon Classification

日本語名: Seddon 分類(末梢神経損傷分類)

対象年齢: 全年齢

評価目的: 末梢神経損傷分類

実施時間: 約 15-20 分

開発背景

開発者: Sir Herbert John Seddon

発行年: 1943 年

理論的基盤: 末梢神経の解剖学的構造と病理学的変化

著作権・使用条件

原典論文は 1943 年発表のため著作権保護期間を経過。分類システムは医学的標準として広く使用される。

パブリックドメイン
原開発者: Seddon HJ (1943)
日本語版: Japanese studies use it
利用時の推奨事項 自由に使用。引用

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 3 つの主要分類
  • サブスケール数: なし(分類システム)
  • 評価方式: 症状・検査所見・経過による総合判定

サブスケール詳細

1. 神経失調症(Neurapraxia)

  • 一時的な伝導障害
  • 軸索の連続性は保持
  • 数分から数週間で完全回復(最大 12 週間)
  • 主に圧迫や軽度牽引による

2. 軸索断裂(Axonotmesis)

  • 軸索は断裂するが神経内膜は保持
  • ワーラー変性が生じる
  • 1mm/日(約 1 インチ/月)で再生、自然回復可能
  • 数ヶ月で改善
  • 挫滅や強い牽引による

3. 神経断裂(Neurotmesis)

  • 軸索・結合組織の完全断裂
  • 自然回復は困難
  • 手術的治療が必要
  • 切創や高度外傷による

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: 該当なし(分類システムのため)
  • テスト再テスト信頼性: 症状の経時変化により変動
  • 評定者間信頼性: 高い(客観的所見に基づくため)

妥当性

  • 感度: 該当なし(分類システムのため)
  • 特異度: 該当なし(分類システムのため)
  • その他: 内容妥当性(神経解剖学・病理学に基づく理論的妥当性)、基準妥当性(電気生理学的検査・手術所見との相関性)、構成妥当性(後の Sunderland 分類との対応関係)

得点化・解釈

基本得点

本問診票では症状重症度を数値化(0-17 点)し、以下の判定基準を使用:

  • 重症度スコア 3 点以下 + 電気検査正常 + 改善傾向 → 神経失調症
  • 重症度スコア 10 点以下 + 解剖学的連続性保持 → 軸索断裂
  • その他 → 神経断裂

予後の目安

  • 神経失調症: 数分から数週間で完全回復(最大 12 週間)
  • 軸索断裂: 1mm/日(約 1 インチ/月)で再生、数ヶ月で改善
  • 神経断裂: 手術なしでは回復困難

実施上の注意点

対象者

  • 末梢神経損傷が疑われる全ての患者
  • 外傷性・非外傷性を問わず適用可能

評価者

  • 神経学的診察に習熟した医師
  • 電気生理学的検査の解釈能力が必要

制限事項

  • 複合型損傷では判定困難な場合あり
  • 評価時期により症状が変化
  • 電気生理学的検査は受傷 2 週間後が適切
  • Tinel 徴候: 神経走行に沿った叩打により異常感覚を誘発、痛みとは明確に区別される、神経再生の進行を示す重要な徴候、受傷後 4-6 週間以降に出現可能

参考文献

  • Seddon HJ. Three types of nerve injury. Brain. 1943;66(4):237-288. doi: 10.1093/brain/66.4.237
  • 長尾聡哉. Tinel 徴候. 脊椎脊髄ジャーナル 2015;28(4):297-299
  • 日本神経治療学会ガイドライン作成委員会: 標準的神経治療: Bell 麻痺. 神経治療学 2019