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SPIN (社交不安障害評価尺度)

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基本情報

正式名称: Social Phobia Inventory

日本語名: 社交不安障害評価尺度

対象年齢: 12歳以上(青年期・成人)

評価目的: 社交不安障害評価

実施時間: 約5分

開発背景

開発者: Connor et al. (Duke University)

発行年: 2000年

理論的基盤: DSM-IV社交不安障害診断基準

著作権・使用条件

Copyright © Jonathan Davidson, 1995, 2008, 2014. All rights reserved. 使用には著作権者の許可が必要(mail@cd-risc.com)。

情報なし
原開発者: Kathryn M. Connor et al. (2000)
日本語版: Japanese version (SPIN-J) validated by Furukawa et al. (2013)
利用時の推奨事項 アプリで出典を明記。完全複製と謝辞で許諾不要。修正には著者に連絡。Webアプリでは免責事項を含める

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 17項目
  • サブスケール数: 3つ(恐怖・回避・生理的症状)
  • 評価方式: 5段階リッカート尺度(0-4点)

サブスケール詳細

1. 恐怖サブスケール - 6項目(0-24点)

  • 権威のある人を恐れる
  • パーティーや社交行事が怖い
  • 批判されることが非常に怖い
  • 見知らぬ人と話すことが怖い
  • 人に見られているかもしれない時に何かをするのが怖い
  • 恥をかいたりばかに見えることは最も恐れることの一つである

2. 回避サブスケール - 7項目(0-28点)

  • 知らない人と話すことを避ける
  • 恥ずかしさへの恐怖から何かをしたり人と話すことを避ける
  • パーティーに行くことを避ける
  • 注目の的になる活動を避ける
  • スピーチをすることを避ける
  • 批判されることを避けるためなら何でもする
  • 権威のある人と話すことを避ける

3. 生理的症状サブスケール - 4項目(0-16点)

  • 人前で赤面することに困惑する
  • 人前で汗をかくことが苦痛である
  • 人がいるときの動悸に困惑する
  • 他人の前で震えたりふるえることが苦痛である

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: α = 0.82-0.96(優秀)
    • 総得点: 0.87-0.94
    • 恐怖サブスケール: 0.68-0.89
    • 回避サブスケール: 0.70-0.91
    • 生理的症状サブスケール: 0.57-0.80
  • テスト再テスト信頼性: r = 0.78-0.89

妥当性

  • 感度: カットオフ19点で良好な弁別能力(診断効率79%)
  • 特異度: 健常者との弁別において良好
  • その他: 他の社交不安尺度(LSAS、BSPS等)と高い相関(r=0.55-0.92)、治療反応性を示す、因子分析で5因子構造を確認

得点化・解釈

基本得点

  • 総得点: 全17項目の合計点(0-68点)
  • サブスケール得点:
    • 恐怖: 6項目の合計(0-24点)
    • 回避: 7項目の合計(0-28点)
    • 生理的症状: 4項目の合計(0-16点)

重症度の目安

  • 正常/極軽度: 20点未満
  • 軽度: 21-30点
  • 中等度: 31-40点
  • 重度: 41-50点
  • 最重度: 51点以上

カットオフ値

  • スクリーニング: 19点以上で社交不安障害の可能性
  • 治療効果判定: ベースラインから40-55%減で改善、55%以上減で著明改善

実施上の注意点

対象者

  • 12歳以上の青年・成人
  • 過去1週間の症状について回答可能な者
  • 社交不安症状を有する疑いのある者

評価者

  • 特別な訓練は不要(自己記入式)
  • 結果解釈には臨床的知識が必要
  • 診断確定には臨床面接が必須

制限事項

  • スクリーニング目的のみ、診断確定には使用不可
  • 症状の頻度や機能障害の程度は評価せず
  • 他の精神疾患との鑑別は別途必要
  • 苦痛の程度を測定(機能障害や頻度は対象外)

参考文献

  • Connor KM, Davidson JRT, Churchill LE, Sherwood A, Foa E, Weisler RH. Psychometric properties of the Social Phobia Inventory (SPIN): New self-rating scale. Br J Psychiatry. 2000;176:379-386. PMID: 10827888
  • Nagata T, Nakajima T, Teo AR, Yamada H, Yoshimura C. Psychometric properties of the Japanese version of the Social Phobia Inventory. Psychiatry Clin Neurosci. 2013;67(3):160-166. PMID: 23581867
  • Antony MM, Coons MJ, McCabe RE, Ashbaugh A, Swinson RP. Psychometric properties of the social phobia inventory: Further evaluation. Behav Res Ther. 2006;44(8):1177-1185. PMID: 16257387