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SCAT (スポーツ競技不安テスト)

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基本情報

正式名称: Sport Competition Anxiety Test

日本語名: スポーツ競技不安テスト

対象年齢: 小学 4 年生から成人(原典は 15 歳以上を想定、小児版 SCAT-C は 9-14 歳用)

評価目的: 競技不安評価 (15項目)

実施時間: 5-10 分

開発背景

開発者: Rainer Martens, Ph.D.

発行年: 1977 年

理論的基盤: Spielberger の特性不安-状態不安理論、競技特異的不安理論

著作権・使用条件

  • 著作権者: Rainer Martens (1977)
  • 出版社: Human Kinetics Publishers
パブリックドメイン
原開発者: McCrory P et al. (2017)
日本語版: Japanese version available
利用時の推奨事項 自由に使用。引用

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 15 項目
  • サブスケール数: 2(不安評価項目、偽装項目)
  • 評価方式: 3 段階評価(ほとんどない・時々ある・よくある)

サブスケール詳細

1. 不安評価項目 - 10 項目

認知的不安(Q2, Q3, Q5):

  • 競技前の不安感
  • パフォーマンスへの心配
  • ミスへの懸念

身体的不安(Q8, Q9, Q12, Q14, Q15):

  • 胃の不快感
  • 心拍数の上昇
  • 緊張感
  • ぴりぴりした感覚

逆転項目(Q6, Q11):

  • 落ち着き(calm)
  • リラックス(relaxed)
  • 採点: ほとんどない=3 点、時々ある=2 点、よくある=1 点

2. 偽装項目 - 5 項目

回答バイアスを軽減するための項目(スコアには含まれない):

  • Q1: 社会的楽しさ
  • Q4: スポーツマンシップ
  • Q7: 目標設定の重要性
  • Q10: 身体的活動への嗜好
  • Q13: 競技タイプの嗜好

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: Cronbach α = 0.82-0.85(原典報告)、小児版(SCAT-C)α = 0.81-0.85
  • テスト再テスト信頼性: 高い安定性を示す
  • 評定者間信頼性: 該当なし(自己報告式のため)

重要な注意: これらの信頼性データは英語版・欧米サンプルでの結果であり、日本語版での信頼性は未検証です。

妥当性

  • 感度: 該当なし(スクリーニングツールではない)
  • 特異度: 該当なし(スクリーニングツールではない)
  • その他: 構成概念妥当性(他の不安尺度との適度な相関)、予測妥当性(競技パフォーマンスとの関連性が確認)、併存妥当性(一般特性不安尺度との相関 r = 0.60 程度)、弁別妥当性(競技場面特異的な不安を測定)

重要な注意: これらの妥当性データも英語版・欧米サンプルでの結果であり、日本語版・日本人アスリートでの妥当性は未検証です。

得点化・解釈

基本得点

  1. 不安評価 10 項目のみを使用(Q2, Q3, Q5, Q6, Q8, Q9, Q11, Q12, Q14, Q15)
  2. 偽装項目 5 項目は採点に含めない
  3. 逆転項目 2 項目は逆採点(Q6, Q11)
  4. 合計: 10-30 点の範囲

不安レベルの目安

  • 低レベル: 10-16 点(競技不安が低く、パフォーマンスへの悪影響は少ない)
  • 平均レベル: 17-24 点(一般的なアスリートが示す競技不安レベル)
  • 高レベル: 25-30 点(高い競技不安、パフォーマンスへの悪影響やメンタルサポートの必要性)

重要な注意: これらの基準は 1970 年代のアメリカのサンプルに基づく。日本人アスリートでの規準値は未確立であり、文化的な違いにより基準値が異なる可能性が高い。

実施上の注意点

対象者

  • スポーツ競技に参加している者
  • 競技経験のある者(レベルは問わない)
  • 質問文を理解できる日本語能力
  • 小学 4 年生以上(または 15 歳以上が望ましい)

評価者

  • 実施自体は専門家でなくても可能
  • 解釈にはスポーツ心理学の基礎知識を持つ者が望ましい
  • 日本語版の限界を理解した専門家による慎重な解釈が必須

制限事項

  • 測定内容の限定: 特性不安のみ測定(状態不安は測定しない)
  • 文化的制限: アメリカで開発、日本での妥当性は未検証
  • 年代的制限: 1970 年代の開発、より新しい尺度も利用可能
  • 日本語版特有の制限: 翻訳の妥当性が専門家による検証を受けていない、日本での標準化データが存在しない、臨床的意思決定への使用は推奨されない

参考文献

  • Martens, R. (1977). Sport Competition Anxiety Test. Champaign, IL: Human Kinetics Publishers
  • Martens, R., Vealey, R. S., & Burton, D. (1990). Competitive anxiety in sport. Champaign, IL: Human Kinetics Publishers
  • Psychometric Note on the Reliability of the Sport Competition Anxiety Test: Form C (Research Quarterly for Exercise and Sport, 1981, Vol 52, No 1)