CliniScale 臨床評価スケール情報
R.E.N.A.L. (RENAL 腎計測スコア)
詳細情報
基本情報
正式名称: R.E.N.A.L. Nephrometry Score
日本語名: RENAL 腎計測スコア
対象年齢: 成人
評価目的: 腎腫瘍の複雑度評価 (4-12点)
実施時間: 画像評価に依存
開発背景
開発者: Alexander Kutikov, Robert G. Uzzo
発行年: 2009 年
理論的基盤: 腫瘍の解剖学的特徴に基づき、腎部分切除術の技術的難易度を予測。手術計画と患者カウンセリングに使用
著作権・使用条件
公的ドメイン
情報なし
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Andrew L. Kutikov and Robert G. Uzzo, Fox Chase Cancer Center (2009)
日本語版: Used in Japanese urology practice
利用時の推奨事項
原著論文を引用。腎腫瘍評価スコアのため自由に使用可能
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 5 項目
- サブスケール数: なし
- 評価方式: 各項目 1-3 点 (A は記述的)、合計 4-12 点で複雑度を評価
評価項目詳細
1. R - Radius (腫瘍の最大径) - 3 段階
- 1 点: 4cm 以下
- 2 点: 4cm より大きく 7cm 以下
- 3 点: 7cm より大きい
2. E - Exophytic/Endophytic (外方発育性) - 3 段階
- 1 点: 50%以上が外方発育
- 2 点: 50%未満が外方発育
- 3 点: 完全に内方発育
3. N - Nearness to collecting system (集合系との近接性) - 3 段階
- 1 点: 7mm 以上離れている
- 2 点: 4mm 以上 7mm 未満
- 3 点: 4mm 未満
4. A - Anterior/posterior (前面/後面の位置) - 記述的
- a: 前面
- p: 後面
- x: どちらでもない (極の位置)
- スコアには加算されない (記述的)
5. L - Location relative to polar lines (極からの位置) - 3 段階
- 1 点: 完全に極線より上または下
- 2 点: 極線をまたぐ
- 3 点: 50%以上が極線をまたぐ、または完全に腎門部内
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 高い
- テスト再テスト信頼性: 高い
- 評定者間信頼性: 中程度 (κ=0.4-0.6)
妥当性
- 感度: 高い (手術難易度の予測)
- 特異度: 高い
- その他: 手術時間、温阻血時間、術後合併症との相関が報告されている
得点化・解釈
基本得点
RENAL スコア = R + E + N + L (範囲: 4-12 点) 完全表記: スコア + 位置記号 (例: 6p、9a、11x)
複雑度分類の目安
- 低複雑度: 4-6 点 (腎部分切除術の良い適応)
- 中等度複雑度: 7-9 点 (腎部分切除術は可能だが技術的に困難)
- 高複雑度: 10-12 点 (腎部分切除術は技術的に非常に困難)
実施上の注意点
対象者
- 腎腫瘍患者
- 腎部分切除術を検討している患者
評価者
- 泌尿器科医または放射線科医
- 造影 CT または MRI による評価
制限事項
- 3 次元画像 (3D reconstruction) が推奨される
- 評価者間のばらつきがある
- スコアだけで手術適応を決定すべきではない
参考文献
- Kutikov A, Uzzo RG. The R.E.N.A.L. nephrometry score: a comprehensive standardized system for quantitating renal tumor size, location and depth. J Urol. 2009;182(3):844-853.
- 原典論文: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19616235/