PSS-10 (知覚されたストレス尺度 10 項目版)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
正確な情報については、必ず原典を参照してください。
業務でのご利用には、個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システムの
セキュア問診票
をご利用ください。
患者さんの個人データに、運営会社や第三者はアクセス不可能である、という点が最大の特徴です。
個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません!
基本情報
正式名称: Perceived Stress Scale-10
日本語名: 知覚されたストレス尺度 10 項目版
対象年齢: 12 歳以上(高校教育レベル以上を想定)
評価目的: ストレス知覚評価 (10項目)
実施時間: 5-10 分
開発背景
開発者: Sheldon Cohen, Tom Kamarck, Robin Mermelstein
発行年: 1983 年(原版 14 項目)、1988 年(10 項目版)
理論的基盤: Lazarus のストレス相互作用モデル(認知的評価理論)
著作権・使用条件
原版は著作権保護下にあり、MAPI Trust が独占販売代理店。日本語版は学術利用において一般的に使用されている。
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 10 項目
- サブスケール数: 2
- 評価方式: 5 段階リッカート尺度(0-4 点)
サブスケール詳細
1. 知覚された無力感 - 6 項目(1,2,3,6,9,10 番)
- 状況や感情のコントロール不能感
- 予測不可能性に対する動揺
- ストレスに対する圧倒感
2. 知覚された自己効力感 - 4 項目(4,5,7,8 番)
- 問題対処能力への自信
- 状況コントロール感
- 物事の順調さの認識
- ※逆転項目として採点
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: クロンバック α = 0.78-0.89
- テスト再テスト信頼性: r = 0.70 以上(2-4 週間間隔)
- 評定者間信頼性: 該当なし(自己記入式)
妥当性
- 感度: 該当なし(診断ツールではない)
- 特異度: 該当なし(診断ツールではない)
- その他: 構成概念妥当性(2 因子構造の確認)、併存妥当性(うつ病尺度 r = 0.58、不安尺度と中程度相関)、基準関連妥当性(健康状態、サービス利用と有意な関連)
得点化・解釈
基本得点
- 逆転項目(4,5,7,8 番)を逆転(0→4, 1→3, 2→2, 3→1, 4→0)
- 全項目の合計点(0-40 点範囲)
解釈の目安
重要: PSS-10 は診断ツールではなく、開発者は公式のカットオフ値を設定していません。得点の解釈は以下の方法で行います:
- 連続変数として使用: 高得点ほど高い知覚ストレスを示す
- パーセンタイル比較: 同年代・同集団の標準値と比較
- 経時的変化の追跡: 個人内の得点変化を観察
- 他尺度との相関: うつ・不安など他の心理指標との関連を検討
参考的な得点範囲(非公式)
一部の研究・臨床現場で便宜的に使用されている目安(科学的根拠は限定的):
- 低ストレス: 0-13 点
- 中等度ストレス: 14-26 点
- 高ストレス: 27-40 点
※これらは診断基準ではなく、あくまで参考値です。個人の背景・状況を考慮した総合的な評価が必要です。
実施上の注意点
対象者
- 12 歳以上で基礎的読解力のある者
- 認知機能に重篤な障害のない者
評価者
- 特別な資格は不要
- 結果解釈には心理学的知識が推奨
制限事項
- 診断ツールではない(スクリーニング・評価用途)
- 予測妥当性は 4-8 週間で低下
- 特定のストレス要因は特定できない
- カットオフ値による診断的カテゴリ分けは推奨されない
参考文献
- Cohen, S., Kamarck, T., & Mermelstein, R. (1983). A global measure of perceived stress. Journal of Health and Social Behavior, 24(4), 385-396.
- Cohen, S., & Williamson, G. (1988). Perceived stress in a probability sample of the United States. In S. Spacapan & S. Oskamp (Eds.), The social psychology of health. Newbury Park, CA: Sage.
- 岩佐一・他 (2006). 知覚されたストレス尺度日本語版における信頼性と妥当性の検討. 日本健康心理学会誌, 19(2), 44-53.
- Klein, E.M., et al. (2016). The German version of the Perceived Stress Scale. BMC Psychology, 4, 10.