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OCI-R (強迫症状評価改訂版)

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基本情報

正式名称: Obsessive-Compulsive Inventory-Revised

日本語名: 強迫症状評価改訂版

対象年齢: 成人・青年期(16 歳以上)

評価目的: 強迫症状評価

実施時間: 約 5-10 分

開発背景

開発者: Foa, E.B. et al.

発行年: 2002 年

理論的基盤: DSM-IV-TR の強迫性障害診断基準

著作権・使用条件

本尺度は公共利用可能(パブリックドメイン)であり、著者の許可なく無料で使用できる。

情報なし
原開発者: Edna B. Foa et al. (2002)
日本語版: Japanese version (OCI-R-J) validated by Ishikawa et al. (2014)
利用時の推奨事項 Foaに連絡して許諾取得。アプリで明記

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 18 項目
  • サブスケール数: 6 サブスケール
  • 評価方式: 5 段階評価(0: 全くない ~ 4: 非常に)

サブスケール詳細

1. 洗浄(Washing) - 3 項目(5, 11, 17)

  • 汚染に対する恐怖と過度な洗浄行為
  • 他人が触ったものへの接触困難
  • 必要以上の手洗い行為

2. 確認(Checking) - 3 項目(2, 8, 14)

  • ドア、窓、ガス栓などの過度な確認行為
  • 必要以上の確認行動
  • 安全確認の強迫行為

3. 順序(Ordering) - 3 項目(3, 9, 15)

  • 物の配置に対するこだわり
  • 整理整頓への強迫的欲求
  • 他人による配置変更への不安

4. 強迫観念(Obsessing) - 3 項目(6, 12, 18)

  • 不快な考えの侵入
  • 思考のコントロール困難
  • 意に反する考えの反復

5. 中和(Neutralizing) - 3 項目(4, 10, 16)

  • 数を数える強迫行為
  • 特定数字への反復的こだわり
  • 良い数字・悪い数字への信念

6. 溜め込み(Hoarding) - 3 項目(1, 7, 13)

  • 不要物の蓄積行為
  • 物を捨てることへの困難
  • 将来の必要性への過度な心配

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: クロンバック α = 0.81-0.93(全尺度)、サブスケール信頼性 α = 0.65-0.90
  • テスト再テスト信頼性: r = 0.82-0.89(2 週間間隔)
  • 評定者間信頼性: 自己記入式のため該当なし

妥当性

  • 併存妥当性: Y-BOCS との相関 r = 0.67-0.76
  • 構成概念妥当性: 6 因子構造が複数の研究で確認
  • 治療感度: 治療効果の検出に有効

得点化・解釈

基本得点

各項目 0-4 点、総得点 0-72 点の範囲。サブスケール得点は各 0-12 点。

カットオフ値

18 項目全体(0-72 点) - Foa et al. 2002

  • カットオフ値: 21 点
  • 感度: 65.6% (OCD 群 vs 非不安群)
  • 特異度: 63.9%
  • OCD 群平均: 28.0 点(SD=13.53)

OCD 成分 15 項目(0-60 点) - Wootton et al. 2015

  • 対象項目: 溜め込み 3 項目(1,7,13)を除く 15 項目
  • カットオフ値: 12 点
  • 感度: 82%
  • 特異度: 83%
  • 根拠: DSM-5 で溜め込み障害が独立診断となったため

溜め込み成分 3 項目(0-12 点) - Wootton et al. 2015

  • 対象項目: 1, 7, 13
  • カットオフ値: 6 点
  • 感度: 92%
  • 特異度: 93%

重症度の目安(Abramovitch et al. 2020)

  • 軽度: 総得点 0-15 点
  • 中等度: 総得点 16-27 点
  • 重度: 総得点 28 点以上

サブスケール解釈

各サブスケールで 3 点以上の場合、その領域での臨床的に有意な症状を示唆。

実施上の注意点

対象者

  • 16 歳以上の青年・成人
  • 読解能力のある者
  • 過去 1 か月間の症状を振り返れる者

評価者

  • 専門的訓練は不要(自己記入式)
  • 結果解釈には臨床的知識が必要
  • 診断確定には専門家による評価が必須

制限事項

  • スクリーニング目的での使用
  • 診断の確定には不十分
  • DSM-5 では溜め込み障害が別疾患に分類されているため、2 成分評価(OCD 成分+溜め込み成分)が推奨される

参考文献

  • Foa, E.B., Huppert, J.D., Leiberg, S., Hajcak, G., Langner, R., et al. (2002). The Obsessive-Compulsive Inventory: Development and validation of a short version. Psychological Assessment, 14, 485-496. [PMID: 12501574]
  • Wootton, B.M., Diefenbach, G.J., Bragdon, L.B., Steketee, G., Frost, R.O., & Tolin, D.F. (2015). A contemporary psychometric evaluation of the Obsessive Compulsive Inventory - Revised (OCI-R). Psychological Assessment, 27(3), 874-882.
  • Abramovitch, A., Abramowitz, J.S., Mittelman, A., et al. (2020). Severity benchmarks and contemporary clinical norms for the Obsessive-Compulsive Inventory-Revised (OCI-R). Journal of Obsessive-Compulsive and Related Disorders, 27, 100557.