CliniScale 臨床評価スケール情報
NIHSS (NIH 脳卒中スケール)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
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基本情報
正式名称: National Institutes of Health Stroke Scale
日本語名: NIH 脳卒中スケール
対象年齢: 全年齢（主に成人）
評価目的: 脳卒中重症度評価
実施時間: 約 5-10 分
開発背景
開発者: Thomas Brott 博士らによる研究チーム
発行年: 1989 年
理論的基盤: 急性脳卒中の神経学的欠損を定量的に測定する体系的評価ツール
著作権・使用条件
NIHSS (National Institutes of Health Stroke Scale) は米国国立衛生研究所が開発した公的なスケールで、医療現場での使用が広く認められています。
パブリックドメイン
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: NIH (1989)
日本語版: Japanese version validated by Lyden et al.
利用時の推奨事項
NIHを引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 11 項目
- サブスケール数: なし（単一スケール）
- 評価方式: 0-4 点の段階評価（項目により異なる）、合計 0-42 点
項目詳細
意識レベル評価 - 3 項目
- 1a. 意識水準（0-3 点）
- 1b. 意識障害:質問（0-2 点）
- 1c. 意識障害:従命（0-2 点）
視覚・眼球運動評価 - 2 項目
-
- 最良の注視（0-2 点）
-
- 視野（0-3 点）
運動機能評価 - 5 項目
-
- 顔面麻痺（0-3 点）
- 5a. 左上肢の運動（0-4 点）
- 5b. 右上肢の運動（0-4 点）
- 6a. 左下肢の運動（0-4 点）
- 6b. 右下肢の運動（0-4 点）
協調・感覚・言語機能評価 - 4 項目
-
- 運動失調（0-2 点）
-
- 感覚（0-2 点）
-
- 最良の言語（0-3 点）
-
- 構音障害（0-2 点）
-
- 消去現象と注意障害（0-2 点）
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: ICC = 0.95
- テスト再テスト信頼性: ICC = 0.93
- 評定者間信頼性: ICC = 0.95
妥当性
- 感度: 急性脳卒中の重症度評価における高い予測精度
- 特異度: 病変の位置と大きさの予測において高い特異度
- その他: 脳梗塞体積との強い相関（r = 0.48-0.62）
得点化・解釈
基本得点
各項目の点数を単純合算して総合計点を算出（0-42 点）
重症度分類の目安
- 症状なし～軽微: 0-1 点
- 軽症: 2-4 点
- 中等症: 5-15 点
- 中等症～重症: 16-20 点
- 重症: 21-42 点
予後予測
- 良好な回復の可能性: 6 点未満
- 死亡率が高い可能性: 16 点以上
- tPA 治療適応検討: 一般的に 8-20 点が対象範囲
実施上の注意点
対象者
- 急性脳卒中患者
- 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などすべての脳卒中病型
評価者
- 適切な訓練を受けた医療従事者
- 神経学的検査の知識と経験が必要
- 評価の標準化が重要
制限事項
- 言語障害への配点が高く左半球病変を過大評価する傾向
- 椎骨動脈系の障害では点数が低めに評価される
- 脳神経障害を評価する項目が少ない
- 昏睡患者では特定項目の評価が制限される
参考文献
- Brott T, Adams HP Jr, Olinger CP, et al. Measurements of acute cerebral infarction: a clinical examination scale. Stroke. 1989;20(7):864-870.
- Lyden P, Raman R, Liu L, et al. National Institutes of Health Stroke Scale certification is reliable across multiple venues. Stroke. 2009;40(7):2507-11.