CliniScale 臨床評価スケール情報
MMSE (精神状態短時間検査 / ミニメンタルステート検査)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
正確な情報については、必ず原典を参照してください。
業務でのご利用には、個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システムの
セキュア問診票
をご利用ください。
患者さんの個人データに、運営会社や第三者はアクセス不可能である、という点が最大の特徴です。
個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません！
基本情報
正式名称: Mini-Mental State Examination
日本語名: 精神状態短時間検査 / ミニメンタルステート検査
対象年齢: 18 歳-85 歳 (主に高齢者)
評価目的: 認知機能スクリーニング (30点満点)
実施時間: 約 10-15 分
開発背景
開発者: Marshall F. Folstein, Susan E. Folstein, Paul R. McHugh
発行年: 1975 年
理論的基盤: 認知機能の多面的評価による認知症スクリーニング
著作権・使用条件
原版は 1975 年に Folstein, M.F. らによって開発され、日本版 (MMSE-J) は 2006 年に杉下守弘によって翻訳・翻案されました。日本文化科学社が正規版を販売しています。
情報なし
商用利用
可
許諾
必要
料金
有料
研修
不要
原開発者: Marshal Folstein et al. (1975)
日本語版: Japanese version validated by Mori et al. (1985)
利用時の推奨事項
PARに連絡して許諾取得。オリジナル1975年版などパブリックドメイン代替を検討
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 11 項目
- サブスケール数: 7 つの認知機能領域
- 評価方式: 30 点満点、項目ごとに 1-5 点配分
認知機能領域詳細
1. 時間の見当識 - 5点
- 年、季節、日、曜日、月の認識
2. 場所の見当識 - 5点
- 県、市、建物、階、地方の認識
3. 即時想起 - 3点
- 3 単語の即時記銘能力
4. 注意と計算 - 5点
- 連続減算 (100-7 の計算)
5. 遅延再生 - 3点
- 3 単語の遅延想起
6. 言語機能 - 8点 (5カテゴリ)
- 物品呼称 (2 点)、復唱 (1 点)、口頭命令 (3 点)、読字理解 (1 点)、書字 (1 点)
7. 図形的能力 - 1点
- 重なり合う五角形の模写
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 高い一貫性を示す
- テスト再テスト信頼性: 良好
- 評定者間信頼性: 高い一致率
妥当性
- 感度: 83% (23 点カットオフ時)
- 特異度: 93% (23 点カットオフ時)
- 基準関連妥当性: 世界的に標準化された検査として高い妥当性
得点化・解釈
基本得点
各項目の正答数を合計し、30 点満点で評価
認知機能レベルの目安
- 正常範囲: 28-30 点 (認知機能の問題なし)
- 軽度認知障害疑い: 24-27 点 (MCI 疑い)
- 認知症疑い: 23 点以下 (詳細検査が必要)
重症度分類
- 軽度: 21 点以上
- 中等度: 11-20 点
- 重度: 10 点以下
実施上の注意点
対象者
- 認知機能低下が疑われる 18 歳以上の成人
- 言語理解と基本的な読み書き能力が必要
評価者
- 医療従事者または訓練を受けた専門職
- 被検者との信頼関係構築が重要
- 静かで集中できる環境の確保
制限事項
- スクリーニング検査であり、確定診断には不十分
- 教育歴や文化的背景の影響を受ける
- 失語、視覚障害、運動麻痺がある場合は実施困難
参考文献
- Folstein, M.F., Folstein, S.E., & McHugh, P.R. (1975). Mini-Mental State: a practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician. Journal of Psychiatric Research, 12, 189-198.
- 杉下守弘ほか (2016). 精神状態短時間検査-日本版 (MMSE-J) の妥当性と信頼性に関する再検討. 認知神経科学, 18, 3-4.