臨床評価スケール ClinicalScale  CliniScale 臨床評価スケール情報

CliniScale で入力

LRINEC (ライネックスコア、壊死性筋膜炎診断補助スコア)

詳細情報

このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。

正確な情報については、必ず原典を参照してください。

CliniScale で入力する

業務でのご利用には、個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システムの セキュア問診票 をご利用ください。
患者さんの個人データに、運営会社や第三者はアクセス不可能である、という点が最大の特徴です。
個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません！

セキュア問診票での入力を試す

基本情報

正式名称: Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis

日本語名: ライネックスコア、壊死性筋膜炎診断補助スコア

対象年齢: 成人

評価目的: 壊死性筋膜炎診断補助

実施時間: 5 分程度

開発背景

開発者: Chin-Ho Wong ら

発行年: 2004 年

理論的基盤: 壊死性筋膜炎患者と重症蜂窩織炎・膿瘍患者の血液検査データの比較分析

著作権・使用条件

Wong CH, et al. The LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score: a tool for distinguishing necrotizing fasciitis from other soft tissue infections. Crit Care Med 2004;32:1535-41. PMID: 15241098

パブリックドメイン
商用利用 可
許諾 不要
料金 無料
研修 不要
原開発者: Wong CH et al. (2004)
日本語版: Japanese version validated
利用時の推奨事項 自由に使用。引用

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 6 項目
  • サブスケール数: なし (単一スコア)
  • 評価方式: 血液検査データによる点数化、0-13 点満点

評価項目詳細

1. CRP (C-reactive protein)

  • <150 mg/L: 0 点
  • ≧150 mg/L: 4 点
  • 注: 国際標準の mg/L 表記を使用 (15 mg/dL = 150 mg/L)

2. 白血球数 (WBC)

  • <15,000 /μL: 0 点
  • 15,000-25,000 /μL: 1 点

  • 25,000 /μL: 2 点

3. ヘモグロビン (Hb)

  • 13.5 g/dL: 0 点

  • 11.0-13.5 g/dL: 1 点
  • <11.0 g/dL: 2 点

4. 血清ナトリウム (Na)

  • ≧135 mEq/L: 0 点
  • <135 mEq/L: 2 点

5. 血清クレアチニン (Cr)

  • ≦1.6 mg/dL: 0 点

  • 1.6 mg/dL: 2 点

6. 血糖 (Glucose)

  • ≦180 mg/dL: 0 点

  • 180 mg/dL: 1 点

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: 報告なし (血液検査データベースの診断ツール)
  • テスト再テスト信頼性: 病態の進行により変化するため評価困難
  • 評定者間信頼性: 客観的検査値に基づくため高い

妥当性

  • 感度: 90% (開発群 89.9%、検証群 92.9%)
  • 特異度: 96-97%
  • 陽性予測値: 92%
  • 陰性予測値: 96%
  • その他: ROC 曲線下面積 0.980 (開発群)、0.976 (検証群)

得点化・解釈

基本得点

各項目の点数を合計し、0-13 点で評価

リスク分類の目安

  • 低リスク: ≦5 点 (<50%)
  • 中等度リスク: 6-7 点 (50-75%)
  • 高リスク: ≧8 点 (>75%)
  • 診断基準: ≧6 点で壊死性筋膜炎を疑う (原著)

実施上の注意点

対象者

  • 重症軟部組織感染症が疑われる成人患者
  • 血液検査が実施可能な患者

評価者

  • 医師またはそれに準じる医療従事者
  • 血液検査結果の解釈が可能な専門職

制限事項

  • あくまで補助的診断ツール、臨床所見・画像所見との総合判断が必要
  • 早期では血液検査値に変化が出ないことがある
  • LRINEC スコア 0 点の壊死性筋膜炎例も報告されている
  • 免疫不全患者では感度が低下する可能性
  • 後続研究では原著より低い感度が報告されている (43-80%)
  • スコア<6 でも約 10%に壊死性筋膜炎が存在する

参考文献

  • Wong CH, et al. The LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score: a tool for distinguishing necrotizing fasciitis from other soft tissue infections. Crit Care Med 2004;32:1535-41. PMID: 15241098
  • Hsiao CT, et al. Prospective Validation of the Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis (LRINEC) Score for Necrotizing Fasciitis of the Extremities. PLoS One 2020;15(1):e0227748. PMID: 31978094

リンク

PubMed 原著 PLOS ONE 検証研究