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JCS (ジャパン・コーマ・スケール、日本昏睡スケール)

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基本情報

正式名称: Japan Coma Scale

日本語名: ジャパン・コーマ・スケール、日本昏睡スケール

対象年齢: 全年齢対象

評価目的: 意識レベル評価 (日本版)

実施時間: 1-3分

開発背景

開発者: 太田富雄、和賀志郎、半田肇他

発行年: 1974年(Ⅲ-3度方式)、1975年(3-3-9度方式)、1991年(JCS)

理論的基盤: 覚醒度による意識障害分類

著作権・使用条件

太田富雄、和賀志郎、半田肇他による3-3-9度方式(1975年)を基盤とした日本の標準的意識レベル評価法

情報なし
原開発者: Ohta et al. (1974)
日本語版: Original Japanese
利用時の推奨事項 原著を使用。修正には許諾取得

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 10項目(意識清明0 + 3-3-9度方式)
  • 評価方式: 覚醒度による3段階大分類 × 各3段階小分類+意識清明
  • スコア範囲: 0-300(数値が大きいほど重篤)
  • 表記方式: JCS 100(正式)※Ⅲ-300表記は開発者論文により「間違い」とされている

意識清明 - 0項目

  • 0: 意識清明

Ⅰ 刺激しないでも覚醒している状態(1桁)- 3項目

  • 1: 意識清明とは言えない
  • 2: 見当識障害がある
  • 3: 自分の名前、生年月日が言えない

Ⅱ 刺激すると覚醒する状態(2桁)- 3項目

  • 10: 普通の呼びかけで容易に開眼する
  • 20: 大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
  • 30: 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する

Ⅲ 刺激しても覚醒しない状態(3桁)- 3項目

  • 100: 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
  • 200: 痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる
  • 300: 痛み刺激に全く反応しない

付加情報

  • R: 不穏状態(Restlessness)
  • I: 糞便失禁(Incontinence)※公式ガイドライン表記
  • A: 無動性無言症・失外套症候群(Akinetic mutism・Apallic state)

信頼性・妥当性

信頼性

  • 評価者間信頼性: 高い一致率(簡便で客観的評価)
  • 再現性: 良好(明確な評価基準)
  • 実用性: 日本の医療現場で広く普及、緊急時に有用

妥当性

  • 臨床的妥当性: 脳血管障害・頭部外傷で高い妥当性
  • 予後予測: 意識障害の経過追跡に有効
  • 国際比較: GCSとの相関性確認済み
  • 特異性: 脳ヘルニア進行の評価に特に優れる

得点化・解釈

基本得点

選択された意識レベルに対応する数値をそのまま得点として使用

重症度の目安

  • 0: 意識清明(正常)
  • 1-3: 軽度意識障害(刺激なしで覚醒、見当識障害程度)
  • 10-30: 中等度意識障害(刺激で覚醒可能)
  • 100-300: 重度意識障害(刺激でも覚醒せず)

表記方法

  • 正式表記: JCS 100(開発者論文準拠)
  • 付加情報付き: JCS 20-RI、JCS 200-I など
  • 注意: Ⅲ-300等の表記は開発者論文により「間違い」とされている

実施上の注意点

対象者

  • 意識障害が疑われる全ての患者
  • 脳血管障害、頭部外傷患者で特に有用
  • 本来の適応: 頭部外傷や脳血管障害の急性期における脳ヘルニア評価

評価者

  • 医師、看護師等の医療従事者
  • 統一された評価基準の理解が必要
  • 見当識障害の正確な判定能力が重要

制限事項

  • 二次性意識障害(肝性脳症等)では評価困難な場合あり
  • 遷延性意識障害では正確な評価が困難
  • 開眼の有無を重視するため、他の意識内容評価が必要な場合あり
  • JCS-1判定時の主観的要素による評価のばらつき

参考文献

  • 太田富雄,和賀志郎,半田肇,他.急性期意識障害の新しいgradingとその表現法(いわゆる3-3-9度方式)第3回脳卒中の外科研究会講演集 1975;pp61-69
  • 脳卒中治療ガイドライン2009
  • 山口陽子,田中博之.救急救命士らが意識レベルをJapan Coma Scale(JCS)で1と判定した症例の検討.日本プライマリ・ケア連合学会誌 2017;40(3):131-135