CliniScale 臨床評価スケール情報
IES-R (改訂出来事インパクト尺度)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
正確な情報については、必ず原典を参照してください。
業務でのご利用には、個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システムの
セキュア問診票
をご利用ください。
患者さんの個人データに、運営会社や第三者はアクセス不可能である、という点が最大の特徴です。
個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません！
基本情報
正式名称: Impact of Event Scale-Revised
日本語名: 改訂出来事インパクト尺度
対象年齢: 原則として12歳以上（大人が説明補助すれば8歳以上でも可）
評価目的: トラウマ反応評価
実施時間: 2-5分
開発背景
開発者: Weiss, D.S. & Marmar, C.R.
発行年: 1996年（日本語版: 2002年）
理論的基盤: DSM-IV PTSD診断基準
著作権・使用条件
- 原版著作者: Daniel S. Weiss, Charles R. Marmar (University of California - San Francisco)
- 日本語版作成者: 飛鳥井望（公益財団法人東京都医学総合研究所）
- 使用許可: 診療や調査での使用は無料、ただし許可なくウェブ上や出版物への転載は禁止
情報なし
商用利用
可
許諾
必要
料金
有料
研修
不要
原開発者: Daniel S. Weiss and Charles R. Marmar (1997); revision of the original IES by Horowitz et al. (1979)
日本語版: Japanese version (IES-R-J) validated by Asukai et al. (2002); reliability and validity studies by Furukawa et al.
利用時の推奨事項
Mapi Research Trustに連絡してライセンス取得。アプリで謝辞を含める。Webアプリでは明示的なデジタル使用許諾を取得
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 22項目
- サブスケール数: 3つ
- 評価方式: 5段階リッカート尺度（0: 全くなし ～ 4: 非常に）
侵入症状 Intrusion - 8項目
- 項目1, 2, 3, 6, 9, 14, 16, 20
- 外傷体験の記憶や感情が意図せず侵入してくる症状
- 再体験症状、フラッシュバック、悪夢など
回避症状 Avoidance - 8項目
- 項目5, 7, 8, 11, 12, 13, 17, 22
- トラウマ関連の刺激や記憶を意図的に避ける症状
- 麻痺症状、認知的回避、行動的回避など
過覚醒症状 Hyperarousal - 6項目
- 項目4, 10, 15, 18, 19, 21
- 神経過敏、睡眠障害、集中困難など覚醒レベルの亢進
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: Cronbach's α = 0.92-0.95（Total）、0.88-0.91（Intrusion）、0.81-0.90（Avoidance）、0.80-0.86（Hyperarousal）
- テスト再テスト信頼性: r = 0.86（2週間後、N=114）
妥当性
- 感度: 0.89（早期）、0.75（長期）
- 特異度: 0.93（早期）、0.71（長期）
- 陽性的中率: 0.80（早期）、0.44（長期）
- 陰性的中率: 0.96（早期）、0.90（長期）
得点化・解釈
基本得点
- 各項目0-4点で評価
- 総得点: 0-88点（全項目の合計）
- サブスケール得点: 各項目の平均値で算出推奨
スクリーニングカットオフ値
- 24/25点: PTSDスクリーニング目的の推奨カットオフ値
- 25点以上: PTSD + partial PTSDのスクリーニング陽性
実施上の注意点
対象者
- 特定のトラウマ体験を有する者
- 過去1週間の症状について評価可能な状態
評価者
- 専門的訓練を受けた医療・福祉関係者による実施推奨
- 結果解釈には臨床的判断が必要
制限事項
- 診断ツールではなくスクリーニング・評価尺度
- 臨床面接による診断の代替にはならない
- DSM-5の完全対応ではない（DSM-IV基準）
参考文献
- **原版**: Weiss, D.S.: The Impact of Event Scale-Revised. In: Wilson, J.P., Keane T.M. eds., Assessing psychological trauma and PTSD (Second Edition). The Guilford Press, New York, 2004, pp168-189.
- **日本語版**: Asukai, N., Kato, H., Kawamura, N., et al.: Reliability and validity of the Japanese-language version of the Impact of Event Scale-Revised (IES-R-J): Four studies on different traumatic events. The Journal of Nervous and Mental Disease 190:175-182, 2002.