Gleason (Gleason スコア)
詳細情報
基本情報
正式名称: Gleason Score
日本語名: Gleason スコア
対象年齢: 成人男性
評価目的: 前立腺癌の組織学的グレード評価 (2-10)
実施時間: 病理評価時間
開発背景
開発者: Donald F. Gleason
発行年: 1966 年
理論的基盤: 前立腺癌の組織パターンによる悪性度分類
著作権・使用条件
公的ドメイン
パブリックドメイン
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Donald F. Gleason (1966); modified 2005, 2014
日本語版: Standard grading system in Japanese pathology
利用時の推奨事項
歴史的スコアリングシステムのためパブリックドメイン。原著者Gleasonを引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 2 項目 (主要パターン + 副次パターン)
- サブスケール数: なし
- 評価方式: 2-10 点のスコア (各パターン 1-5 点)
組織パターン詳細
組織パターン (1-5)
- パターン 1: 小型で均一な腺管、境界明瞭(歴史的定義、現在は使用せず)
- パターン 2: 腺管間隔がやや広い、境界やや不明瞭(歴史的定義、現在は使用せず)
- パターン 3: 腺管の大きさ・形状が不規則(現在の最低グレード)
- パターン 4: 融合した腺管または篩状構造
- パターン 5: 腺管形成なし、充実性増殖または壊死
注記: 2005 年 ISUP コンセンサス会議以降、パターン 1-2 は生検標本では使用されません。多くの症例が現在の基準では腺腫性過形成(AAH)と診断されること、また生検では結節の境界を適切に評価できないためです。現在の臨床実践では最低スコアは 3+3=6 です。
スコア算出
- 主要パターン (最も多く見られるパターン)
- 副次パターン (2 番目に多く見られるパターン)
- Gleason スコア = 主要パターン + 副次パターン (2-10 点)
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 該当なし (組織学的評価のため)
- テスト再テスト信頼性: 中程度
- 評定者間信頼性: 中程度 (専門的訓練により改善)
妥当性
- 感度: 高い
- 特異度: 高い
- その他: 予後予測に強く相関
得点化・解釈
基本得点
- 主要パターン + 副次パターン (2-10 点)
グレード分類の目安
- 2-6 点: 低グレード
- 7 点: 中グレード
- 8-10 点: 高グレード
ISUP グレードの目安 (国際泌尿器病理学会)
- グレード 1: Gleason スコア ≤6
- グレード 2: Gleason スコア 3+4=7
- グレード 3: Gleason スコア 4+3=7
- グレード 4: Gleason スコア 8
- グレード 5: Gleason スコア 9-10
実施上の注意点
対象者
- 前立腺癌患者
- 生検または前立腺全摘標本
評価者
- 病理医
- 泌尿器病理の専門知識が必要
制限事項
- 評価者間のばらつきがある
- 生検と全摘標本でスコアが異なる場合がある
- 現在は ISUP グレードと併用することが推奨される
参考文献
- Gleason DF. Classification of prostatic carcinomas. Cancer Chemother Rep. 1966;50(3):125-8.