GOLD分類 (GOLD COPD重症度分類)
詳細情報
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個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません!
基本情報
正式名称: GOLD COPD Classification
日本語名: GOLD COPD重症度分類
対象年齢: 成人(40歳以上での使用が一般的)
評価目的: COPD重症度分類
実施時間: 5-10分
開発背景
開発者: GOLD委員会(WHO・米国立心肺血液研究所共同プロジェクト)
発行年: 2001年初版、毎年更新(2023年版で重要な改訂)
理論的基盤: スパイロメトリー検査、臨床症状評価、増悪頻度
著作権・使用条件
Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) により開発・管理。日本では一般社団法人日本呼吸器学会がガイドライン策定に活用。
情報なし
商用利用
不可
許諾
必要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) (2001; updated annually)
日本語版: Japanese guidelines adopt GOLD; translated
利用時の推奨事項
GOLDに許諾を求める。レポートを引用。教育利用は無料
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 肺機能データ2項目 + 症状評価13項目 + 増悪歴2項目
- 評価要素: 気流閉塞重症度(GOLD1-4)、症状/増悪リスク分類(A/B/E群)
- 評価方式: スパイロメトリー数値 + mMRCまたはCAT + 増悪回数
気流閉塞重症度(GOLD1-4)- 2項目
- FEV1/FVC比: COPD診断基準(70%未満でCOPD)
- %FEV1: 予測値に対する1秒量割合による4段階分類
症状評価(mMRC)- 1項目
- 息切れの程度を5段階で評価(グレード0-4)
- 日常活動における呼吸困難の影響度
症状評価(CAT)- 8項目
- 咳症状
- 痰の有無・程度
- 胸部圧迫感
- 労作時息切れ
- 日常生活への影響
- 外出への自信
- 睡眠への影響
- 活力・元気さ
増悪リスク評価 - 2項目
- 中等度増悪: 外来で抗菌薬および/または全身性コルチコステロイドによる治療を要する症状悪化
- 重度増悪: 入院を要する症状悪化
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: CAT部分でクロンバックα = 0.891
- テスト再テスト信頼性: mMRC、CATともに良好な再現性を確認
- 国際的標準化: 50以上の言語で翻訳・検証済み
妥当性
- 構成概念妥当性: 因子分析により各評価要素の独立性を確認
- 予測妥当性: 生命予後、QOL、医療資源利用との相関を確認
- 基準関連妥当性: 他のCOPD評価尺度(SGRQ等)との良好な相関
得点化・解釈
気流閉塞重症度
- GOLD 1(軽度): %FEV1 ≥ 80%
- GOLD 2(中等度): 50% ≤ %FEV1 < 80%
- GOLD 3(重度): 30% ≤ %FEV1 < 50%
- GOLD 4(極めて重度): %FEV1 < 30%
症状/増悪リスク分類(2023年版: ABE分類)
- A群(少症状・低リスク): mMRC 0-1またはCAT <10、かつ中等度増悪<2回かつ重度増悪<1回
- B群(多症状・低リスク): mMRC ≥2またはCAT ≥10、かつ中等度増悪<2回かつ重度増悪<1回
- E群(頻回増悪): 中等度増悪 ≥2回または重度増悪 ≥1回(症状に関係なく)
重要な変更点: 従来のC群・D群は統合されE群となり、増悪リスクが症状の程度よりも重視されるようになった。
CATスコア解釈
- 0-9点: 軽微な影響
- 10-20点: 中等度の影響
- 21-30点: 重度の影響
- 31-40点: 極めて重度の影響
実施上の注意点
対象者
- スパイロメトリー検査でFEV1/FVC <70%のCOPD確定診断患者
- 気管支拡張薬吸入後の安定期測定値を使用
評価者
- 呼吸器専門医または十分な知識を有する医療従事者
- スパイロメトリー検査技師との連携が必要
制限事項
- 急性増悪期は正確な評価が困難
- 併存疾患(心疾患、筋骨格系疾患)の影響を考慮する必要
- mMRCとCATで症状評価が乖離する場合がある(約30%の患者)
参考文献
- Global Strategy for the Diagnosis, Management, and Prevention of COPD: 2023 Report
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022 第6版(日本呼吸器学会)