FLIPI (濾胞性リンパ腫国際予後指数)
詳細情報
基本情報
正式名称: Follicular Lymphoma International Prognostic Index
日本語名: 濾胞性リンパ腫国際予後指数
対象年齢: 成人
評価目的: 濾胞性リンパ腫の予後予測 (低/中/高リスク)
実施時間: 数分
開発背景
開発者: FLIPI Group
発行年: 2004 年
理論的基盤: 5 つの予後因子による生存予測、国際共同研究
著作権・使用条件
公的ドメイン
情報なし
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: International Follicular Lymphoma Prognostic Factor Project (2004)
日本語版: Widely used in Japanese hematology practice
利用時の推奨事項
原著論文(Blood 2004)を引用。学術論文として発表されており自由に使用可能
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 5 因子
- サブスケール数: なし
- 評価方式: 各因子 0 点または 1 点の 2 段階評価、合計 0-5 点で 3 段階リスク分類
評価因子詳細
1. 年齢 - 1 因子
- 60 歳以下 (0 点)
- 60 歳超 (1 点)
2. 病期 - 1 因子
- I-II 期 (0 点)
- III-IV 期 (1 点)
3. ヘモグロビン値 - 1 因子
- 12 g/dL 以上 (0 点)
- 12 g/dL 未満 (1 点)
4. LDH (乳酸脱水素酵素) - 1 因子
- 正常値以下 (0 点)
- 正常値超 (1 点)
5. 節外病変数 - 1 因子
- 4 箇所以下 (0 点)
- 5 箇所以上 (1 点)
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 該当なし (予後指数のため心理尺度ではない)
- テスト再テスト信頼性: 高い (臨床データに基づく客観的評価)
- 評定者間信頼性: 高い (客観的臨床指標のため)
妥当性
- 感度: 高い (リスク層別化の精度が高い)
- 特異度: 高い (リスク層別化の精度が高い)
- その他: 濾胞性リンパ腫の標準的予後評価ツールとして国際的に広く使用されている。複数の大規模コホート研究で妥当性が検証されている。
得点化・解釈
基本得点
各因子の点数の合計 (0-5 点)
- 各因子: 該当する場合 1 点、該当しない場合 0 点
- 合計点: 5 因子の合計
リスク分類の目安
- 低リスク: 0-1 点
- 中リスク: 2 点
- 高リスク: 3-5 点
実施上の注意点
対象者
- 濾胞性リンパ腫と診断された患者
- 診断時の予後予測に使用
- 治療方針決定の参考として利用
評価者
- 血液内科医
- 腫瘍内科医
- 濾胞性リンパ腫の診療に習熟した医師
制限事項
- FLIPI2 (改訂版) も存在し、より詳細な予後予測が可能
- 治療法の進歩 (リツキシマブ等の分子標的薬) により予後が改善しており、開発当時のデータと現在の予後は異なる可能性がある
- あくまで集団レベルでの予後予測であり、個々の患者の経過を完全に予測するものではない
- 治療選択の唯一の指標とせず、他の臨床情報と総合的に判断する必要がある
参考文献
- Solal-Celigny P, Roy P, Colombat P, et al. Follicular lymphoma international prognostic index. Blood. 2004;104(5):1258-65.