CliniScale 臨床評価スケール情報
FLACC (FLACC疼痛評価スケール)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
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基本情報
正式名称: FLACC Scale
日本語名: FLACC疼痛評価スケール
対象年齢: 2ヶ月から7歳
評価目的: 非言語児疼痛評価
実施時間: 2-5分間の観察
開発背景
開発者: Sandra I. Merkel, Terri Voepel-Lewis, Shobha Malviya(ミシガン大学)
発行年: 1997年
理論的基盤: 行動観察による疼痛評価理論
著作権・使用条件
本ツールの翻訳はミシガン大学との間に締結された合意の元に行われており、原作の権利を侵害するものではありません。
パブリックドメイン
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Merkel (1997)
日本語版: Japanese version validated
利用時の推奨事項
出典を引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 5項目
- サブスケール数: なし(単一尺度)
- 評価方式: 3段階評価(0点、1点、2点)
評価項目詳細
1. Face(表情) - 表情の観察
- 顔の表情変化による疼痛の判断
- 無表情から頻繁なしかめっ面までの段階的評価
2. Legs(下肢) - 下肢の動きの観察
- 脚の位置と動きによる疼痛の判断
- 正常肢位から足を蹴る動きまでの評価
3. Activity(活動性) - 全身活動の観察
- 全身の動きと姿勢による疼痛評価
- おとなしい状態から反り返りまでの観察
4. Cry(啼泣) - 発声の観察
- 泣き声やうめき声による疼痛判断
- 泣いていない状態から持続的な泣き声までの評価
5. Consolability(安静度) - 安楽への反応
- 慰めに対する反応による疼痛評価
- 満足状態から慰め困難まで
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: クロンバックα = 0.882(Voepel-Lewis et al. 2010)
- テスト再テスト信頼性: 該当なし(状態依存的評価のため)
- 評定者間信頼性: ICC = 0.97(Merkel et al. 1997)、κ = 0.95(日本語版総合スコア)、評価者内信頼性 ICC = 0.87(Crellin et al. 2018)
妥当性
- 感度: 94.9%(カットオフ値2点、Crellin et al. 2018)
- 特異度: 73.5%(カットオフ値2点、Crellin et al. 2018)
- その他: VAS観察スコアとの相関r = 0.96(日本語版)
得点化・解釈
基本得点
各項目0-2点で評価し、5項目の合計点数(0-10点)で疼痛レベルを判定
疼痛レベルの目安
- 0点: リラックスし快適
- 1-3点: 軽度の不快感
- 4-6点: 中等度の痛み
- 7-10点: 重度の不快感/痛み
実施上の注意点
対象者
- 2ヶ月から7歳の小児
- 言語でのコミュニケーションが困難な患者
- 集中治療室の挿管患者でも使用可能
評価者
- 看護師または医療従事者による観察評価
- 2-5分間の継続的な観察が必要
- 評価者の主観による誤差を最小化するための訓練推奨
制限事項
- 疼痛と非疼痛関連の苦痛を区別する能力に限界
- ベースラインスコアが高い小児では変化の検出が困難
- 手術後の急性期疼痛評価に特に有効
参考文献
- Merkel SI, Voepel-Lewis T, Shayevitz JR, Malviya S. The FLACC: a behavioral scale for scoring postoperative pain in young children. Pediatr Nurs. 1997;23(3):293-7.
- Matsuishi Y, Hoshino H, Shimojo N, et al. Verifying the validity and reliability of the Japanese version of the Face, Legs, Activity, Cry, Consolability (FLACC) Behavioral Scale. PLoS One. 2018;13(3):e0194094.