FIM (機能的自立度評価法)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
正確な情報については、必ず原典を参照してください。
業務でのご利用には、個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システムの
セキュア問診票
をご利用ください。
患者さんの個人データに、運営会社や第三者はアクセス不可能である、という点が最大の特徴です。
個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません!
基本情報
正式名称: Functional Independence Measure
日本語名: 機能的自立度評価法
対象年齢: 7歳以上
評価目的: 機能的自立度評価
実施時間: 約10-20分
開発背景
開発者: Keith, Granger, Hamilton, Sherwin
発行年: 1987年
理論的基盤: ADL評価・リハビリテーション成果測定
著作権・使用条件
FIMは著作権で保護されている評価ツールですが、臨床使用については標準的な評価法として広く使用されています。
情報なし
商用利用
可
許諾
必要
料金
有料
研修
不要
原開発者: Uniform Data System for Medical Rehabilitation (1987)
日本語版: Japanese version validated; used in rehabilitation
利用時の推奨事項
UDSMRに連絡してライセンス取得。Webアプリでは許諾取得
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 18項目
- サブスケール数: 2(運動項目・認知項目)
- 評価方式: 7段階評価(1-7点)
運動項目詳細(13項目)
1. セルフケア(6項目)
- 食事
- 整容
- 清拭
- 更衣(上半身)
- 更衣(下半身)
- トイレ動作
2. 排泄コントロール(2項目)
- 排尿コントロール
- 排便コントロール
3. 移乗(3項目)
- ベッド・椅子・車椅子移乗
- トイレ移乗
- 浴槽・シャワー移乗
4. 移動(2項目)
- 歩行・車椅子移動
- 階段昇降
認知項目詳細(5項目)
1. コミュニケーション(2項目)
- 理解
- 表出
2. 社会的認知(3項目)
- 社会的交流
- 問題解決
- 記憶
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: クロンバックα = 0.93-0.95
- テスト再テスト信頼性: r = 0.95以上
- 評定者間信頼性: ICC = 0.95以上
妥当性
- 感度: アルツハイマー型認知症の進行検出に高い感度(該当なし - FIMはADL評価)
- 特異度: アルツハイマー型認知症に特化した評価(該当なし - FIMはADL評価)
- その他: 構成概念妥当性 - 良好な因子構造を確認、併存的妥当性 - バーセルインデックスとの高い相関(r = 0.8-0.9)、予測的妥当性 - 退院先、介護負担度の予測に有用
得点化・解釈
基本得点
- 各項目1-7点の7段階評価
- 運動項目合計: 13-91点
- 認知項目合計: 5-35点
- 総合計: 18-126点
自立度の目安
- 110点以上: 介護時間ほぼ0分(完全自立レベル)
- 91-109点: 軽度介護(日常的な見守り程度)
- 70-90点: 中等度介護(部分的な介助が必要)
- 40-69点: 重度介護(多くの項目で介助が必要)
- 18-39点: 最重度介護(ほぼ全面介助)
評価段階の意味
- 7点(完全自立): 補助具なしで完全に自立
- 6点(修正自立): 時間を要するか安全配慮が必要、補助具使用
- 5点(監視): 監視・準備・指示・促しが必要
- 4点(最小介助): 手で触れる程度の介助、75%以上自分で実施
- 3点(中等度介助): 手で触れる以上の介助、50-75%自分で実施
- 2点(最大介助): 25-50%自分で実施
- 1点(全介助): 25%未満しか自分で実施しない
実施上の注意点
対象者
- 脳血管疾患、脊髄損傷、外傷性脳損傷等のADL障害を有する患者
- 高齢者、障害者など介護が必要な方
- 7歳以上の年齢制限
評価者
- 医師、看護師、リハビリテーション専門職
- 対象者の日常生活を観察できる立場の専門職
- 評価基準の十分な理解が必要
制限事項
- 「している ADL」を評価(「できる ADL」ではない)
- 調子の変動がある場合は低い方の点数で評価
- 1点 = 介護時間1.6分として設計されている
参考文献
- Keith, R.A., Granger, C.V., Hamilton, B.B. and Sherwin, F.S. (1987) The Functional Independence Measure A New Tool for Rehabilitation. Advances in Clinical Rehabilitation, 1, 6-18.
- 園田茂, 千野直一. 脳卒中患者の機能評価 SIASとFIMの実際. 東京: シュプリンガー・フェアラーク東京; 1997.
- 道免和久, 千野直一, 才藤栄一, 木村彰男. 機能的自立度評価法(FIM). 総合リハビリテーション. 1990;18(8):627-629.