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FAST (機能評価ステージング法 / アルツハイマー型認知症機能評価ステージング)

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基本情報

正式名称: Functional Assessment Staging

日本語名: 機能評価ステージング法 / アルツハイマー型認知症機能評価ステージング

対象年齢: 成人(認知症が疑われる患者)

評価目的: 認知症進行度評価

実施時間: 5-10分

開発背景

開発者: Barry Reisberg, M.D.

発行年: 1984年

理論的基盤: アルツハイマー型認知症の病期進行過程

著作権・使用条件

Original scale developed by Barry Reisberg, M.D. (Copyright 1984)

情報なし
原開発者: Barry Reisberg (1984)
日本語版: Japanese version used; validation in studies
利用時の推奨事項 原著を引用。ライセンス不要

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 7段階(Stage 1-7) + サブステージ(6a-6e, 7a-7f)
  • サブスケール数: Stage 6(5項目)、Stage 7(6項目)
  • 評価方式: 観察式評価(患者への質問ではなく行動観察・聞き取り)

Stage詳細

Stage 1-3: 正常〜軽度変化

  • Stage 1: 正常状態
  • Stage 2: 年相応の変化(物忘れ)
  • Stage 3: 境界状態(職務機能低下)

Stage 4-5: 軽度〜中等度認知症

  • Stage 4: 複雑作業困難
  • Stage 5: 服装選択に介助必要

Stage 6: やや高度認知症(5つのサブステージ)

  • 6a: 不適切な着衣
  • 6b: 入浴困難
  • 6c: トイレ動作困難
  • 6d: 尿失禁
  • 6e: 便失禁

Stage 7: 高度認知症(6つのサブステージ)

  • 7a: 言語機能制限(約6語以下)
  • 7b: 単語機能著明制限(1語のみ)
  • 7c: 歩行能力喪失
  • 7d: 着座能力喪失
  • 7e: 笑う能力喪失
  • 7f: 頭部保持能力喪失

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: 報告なし(観察式評価のため)
  • テスト再テスト信頼性: 高い信頼性が報告されている
  • 評定者間信頼性: 良好な一致率

妥当性

  • 感度: アルツハイマー型認知症の進行検出に高い感度
  • 特異度: アルツハイマー型認知症に特化した評価
  • その他: 神経病理学的所見、神経生理学的測定との相関が検証済み

得点化・解釈

基本得点

  • Stage 1-7の段階的評価
  • サブステージによる詳細な機能評価

進行度分類

  • Stage 1-2: 正常範囲
  • Stage 3: 境界状態(認知症疑い)
  • Stage 4: 軽度認知症
  • Stage 5: 中等度認知症
  • Stage 6: やや高度認知症
  • Stage 7: 高度認知症(終末期)

実施上の注意点

対象者

  • アルツハイマー型認知症が疑われる、または診断された患者
  • 他の認知症タイプでは適用に限界がある

評価者

  • 患者の状態を十分に観察できる医療従事者、介護者、家族
  • 評価は患者への質問ではなく、行動観察と情報収集に基づく

制限事項

  • アルツハイマー型認知症に特化しており、他の認知症では適用が困難
  • 純粋なアルツハイマー型認知症では順序通りに進行するが、混合性認知症では順序が乱れることがある

参考文献

  • Reisberg B, et al. Functional staging of dementia of the Alzheimer type. Ann NY Acad Sci 1984; 435(1): 481-3
  • Reisberg B. Functional assessment staging (FAST). Psychopharmacol Bull 1988; 24(4): 653-9