EQ-5D (EQ-5D-5L 健康関連 QOL 評価尺度)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
正確な情報については、必ず原典を参照してください。
業務でのご利用には、個人情報・個人データを侵害しないウェブ問診システムの
セキュア問診票
をご利用ください。
患者さんの個人データに、運営会社や第三者はアクセス不可能である、という点が最大の特徴です。
個人データの流出や営利目的の転用は絶対にありません!
基本情報
正式名称: EQ-5D
日本語名: EQ-5D-5L 健康関連 QOL 評価尺度
対象年齢: 一般成人 (小児版 EQ-5D-Y-5L は 8-15 歳対象)
評価目的: 健康関連QOL評価 (5次元)
実施時間: 約 2-3 分
開発背景
開発者: EuroQol Group 研究者
発行年: 1990 年 (EQ-5D-3L), 2009 年 (EQ-5D-5L)
理論的基盤: 多属性効用理論に基づく健康状態記述システム
著作権・使用条件
- 開発元: EuroQol Group Association
- 管理組織: EuroQol Research Foundation (オランダ)
- 日本語版開発: 日本語版 EuroQOL 開発委員会
- 使用許可: EuroQol Group への登録が必要
情報なし
商用利用
不可
許諾
必要
料金
無料
研修
不要
原開発者: EuroQol Group (1990)
日本語版: Ikeda S et al. (1998)
利用時の推奨事項
EuroQol Groupからライセンス取得。非営利利用は無料。引用。ニーズに応じてEQ-5D-3LまたはEQ-5D-5Lを使用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 5 項目
- サブスケール数: なし (5 次元独立評価)
- 評価方式: 各項目 5 段階評価 (レベル 1-5)
5 次元詳細
1. 移動の程度 - 1 項目
- 歩行能力の評価
- 日常的な移動における制限の程度
2. 身の回りの管理 - 1 項目
- 身体を洗う、着替えなどの基本的 ADL
- セルフケア能力の評価
3. ふだんの活動 - 1 項目
- 仕事、勉強、家事、家族・余暇活動など
- 社会的機能の評価
4. 痛み/不快感 - 1 項目
- 身体的症状の主観的評価
- 痛みと不快感の程度
5. 不安/ふさぎ込み - 1 項目
- 精神的健康状態の評価
- 不安と抑うつ症状
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 単一項目構成のため非適用
- テスト再テスト信頼性: 良好 (各研究で確認)
- 評定者間信頼性: 自己記入式のため非適用
妥当性
- 感度: 疾患による健康状態の差を検出可能
- 特異度: 健康な状態を適切に識別
- 天井効果の改善: EQ-5D-3L と比較して大幅に改善
得点化・解釈
基本得点
- 5 桁のコード表記 (例: 11111-55555)
- 効用値算出方法 (2020 年 9 月 23 日更新):
- 従来の換算表公開は一時中止
- 保健医療科学 2015;64(1):47-55 P.53 表 4 の係数を使用
- 算出式: 1 - (各回答係数の合計) - (定数項※)
- ※「11111」以外の健康状態の場合のみ定数項を減算
効用値係数(池田ら 2015 年表 4 より)
移動の程度
- レベル 2: 0.063865(少し問題がある)
- レベル 3: 0.112618(中程度の問題がある)
- レベル 4: 0.179043(かなり問題がある)
- レベル 5: 0.242916(歩き回ることができない)
身の回りの管理
- レベル 2: 0.043632(少し問題がある)
- レベル 3: 0.076660(中程度の問題がある)
- レベル 4: 0.124265(かなり問題がある)
- レベル 5: 0.159659(身体を洗ったり着替えたりすることができない)
ふだんの活動
- レベル 2: 0.050407(少し問題がある)
- レベル 3: 0.091131(中程度の問題がある)
- レベル 4: 0.147929(かなり問題がある)
- レベル 5: 0.174786(ふだんの活動を行うことができない)
痛み/不快感
- レベル 2: 0.044545(少し痛みや不快感がある)
- レベル 3: 0.068178(中程度の痛みや不快感がある)
- レベル 4: 0.131436(かなり痛みや不快感がある)
- レベル 5: 0.191203(極度の痛みや不快感がある)
不安/ふさぎ込み
- レベル 2: 0.071779(少し不安であり、ふさぎ込んでいる)
- レベル 3: 0.110496(中程度に不安であり、ふさぎ込んでいる)
- レベル 4: 0.168171(かなり不安であり、ふさぎ込んでいる)
- レベル 5: 0.195961(極度に不安であり、ふさぎ込んでいる)
定数項
- 値: 0.060924
- 適用: 健康状態「11111」以外のすべての状態
効用値計算例
完全な健康状態(11111)
- 効用値 = 1.000(定義により)
健康状態 12345 の場合
- 移動レベル 1: 0.000
- 身の回りレベル 2: 0.043632
- ふだん活動レベル 3: 0.091131
- 痛みレベル 4: 0.131436
- 不安レベル 5: 0.195961
- 定数項: 0.060924
- 効用値 = 1 - (0.000 + 0.043632 + 0.091131 + 0.131436 + 0.195961 + 0.060924) = 0.477
健康状態の目安
- 11111: 完全な健康状態 (効用値 = 1.000)
- 12111: 最高効用値 (完全健康除く、効用値 = 0.895)
- 55555: 最低効用値 (効用値 = -0.025)
- レベル 1: 問題なし
- レベル 2: 少し問題がある
- レベル 3: 中程度の問題がある
- レベル 4: かなり問題がある
- レベル 5: 極度の問題がある/できない
効用値による健康状態分類
- 1.000: 完全な健康状態
- 0.8 以上: 良好な健康状態
- 0.6-0.8: 中程度の健康状態
- 0.4-0.6: やや不良な健康状態
- 0-0.4: 不良な健康状態
- 0 未満: 死より悪い状態
効用値計算の現状と実装 (重要)
- 2020 年 9 月 23 日より: 日本語版専用換算表の公開一時中止
- 現在の算出方法: 池田らの論文 P.53 表 4 係数による計算
- JSON 実装: 表 4 係数を使用した効用値自動計算機能を実装済み
- 計算式: 1 - (各項目係数の合計 + 定数項※)
- ※定数項: 0.060924(「11111」以外の健康状態のみ加算)
- サポート制限: 2023 年 3 月 14 日より編集部・研究センターへの問い合わせ対応不可
- 参考文献 2: Shiroiwa T, et al. Value Health. 2016;19(5):648-54
実施上の注意点
対象者
- 一般成人 (18 歳以上)
- 認知機能が保たれている者
- 自己記入が可能な者
評価者
- 特別な訓練は不要
- 自己記入式のため評価者の影響なし
制限事項
- 効用値計算: JSON 実装により自動計算対応(2020 年以降の制約を技術的に解決)
- 著作権保護: 使用許可申請が必要
- 天井効果: EQ-5D-3L と比較して改善されたが依然として存在
- サポート制限: 算出方法の問い合わせサポート停止中(技術実装により回避)
参考文献
- 池田俊也, 白岩健, 五十嵐中ら. 日本語版 EQ-5D-5L におけるスコアリング法の開発. 保健医療科学 2015;64(1):47-55
- Shiroiwa T, Ikeda S, Noto S, et al. Comparison of Value Set Based on DCE and/or TTO Data: Scoring for EQ-5D-5L Health States in Japan. Value Health. 2016;19(5):648-54
- 日本語版 EuroQol 開発委員会. 日本語版 EuroQol の開発. 医療と社会 1998;8(1):109-123