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DSM-5-TR (DSM-5-TR うつ病診断基準)

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基本情報

正式名称: DSM-5-TR Diagnostic Criteria

日本語名: DSM-5-TR うつ病診断基準

対象年齢: 全年齢(小児・青年では一部基準が異なる)

評価目的: 精神疾患診断基準

実施時間: 10-15 分

開発背景

開発者: 米国精神医学会(APA)

発行年: 2022 年(DSM-5-TR)、2013 年(DSM-5)

理論的基盤: 操作的診断基準、実証的研究データ

著作権・使用条件

DSM-5-TR は米国精神医学会(American Psychiatric Association)の著作物。日本語版は医学書院より刊行。

情報なし
原開発者: American Psychiatric Association (2022); revision of DSM-5 (2013)
日本語版: Japanese version published by Japanese Society of Psychiatry and Neurology (2014 for DSM-5)
利用時の推奨事項 APAに連絡してライセンス取得。アプリでは参照のみ。完全複製を避ける

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 9 項目(DSM-5-TR 診断基準 A 項目)
  • サブスケール数: 単一スケール
  • 評価方式: 4 段階評価(0-3 点)

診断基準詳細

A 項目:抑うつエピソードの症状(9 項目)

  1. 抑うつ気分 - 悲しみ、空虚感、絶望感(ほとんど 1 日中、ほとんど毎日)
  2. 興味・喜びの喪失 - すべて・ほとんどすべての活動での興味減退
  3. 体重・食欲変化 - 1 ヶ月で 5%以上の体重変化または食欲の変化
  4. 睡眠障害 - 不眠または睡眠過多
  5. 精神運動性変化 - 焦燥または制止(他者にも観察可能)
  6. 疲労感・気力減退 - ほとんど毎日の易疲労性
  7. 無価値感・罪責感 - 過剰・不適切な罪責感
  8. 思考・集中力障害 - 思考力減退、集中困難、決断困難
  9. 死の思考 - 死についての反復思考、自殺念慮・計画

B 項目:機能障害

  • 臨床的に著しい苦痛または社会的・職業的・その他重要な領域での機能障害

C 項目:除外基準

  • 物質や他の医学的状態による影響ではない

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: 高い一貫性を示す
  • テスト再テスト信頼性: 良好
  • 評定者間信頼性: 構造化面接では高い一致率

妥当性

  • 感度: 約 85-90%
  • 特異度: 約 80-85%
  • その他: 世界的に標準化された診断基準

得点化・解釈

基本得点

  • 各項目 0-3 点、総合得点 0-27 点
  • 中等度以上(2 点以上)の症状をカウント

診断基準の目安

  • 診断基準充足: 以下すべてを満たす
    • 9 症状のうち 5 つ以上が中等度以上
    • そのうち少なくとも 1 つは抑うつ気分または興味・喜びの喪失
    • 2 週間以上継続
    • 機能障害あり
    • 物質や身体疾患によるものではない

重症度分類

  • 症状なし: 中等度以上の症状が 0 個
  • 症状あり(診断基準未満): 中等度以上の症状が 1-4 個
  • 中等症: 中等度以上の症状が 5-6 個で診断基準を満たす
  • 重症: 中等度以上の症状が 7 個以上で診断基準を満たす

実施上の注意点

対象者

  • 精神科・心療内科を受診する患者
  • うつ症状を訴える患者のスクリーニング

評価者

  • 医師による診断が必要
  • 問診票は補助的ツール

制限事項

  • 双極性障害の除外が重要
  • 身体疾患や物質による症状の除外
  • 文化的要因への配慮が必要

参考文献

  • American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition Text Revision (DSM-5-TR). American Psychiatric Association Publishing, Washington, DC, 2022
  • 日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2023