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DASC-21 (地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)

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基本情報

正式名称: Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System

日本語名: 地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート

対象年齢: 高齢者(詳細な年齢制限なし)

評価目的: 認知症・生活機能評価

実施時間: 5-10 分

開発背景

開発者: 粟田主一 (東京都健康長寿医療センター研究所)

発行年: 2015 年

理論的基盤: 認知機能障害と生活機能障害の総合評価による認知症の包括的アセスメント

著作権・使用条件

  • 版権者: 粟田主一医師 (東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 公式サイト: https://dasc.jp/
  • 使用条件: 一般臨床・研究使用は許可不要、商業利用は要許可
情報なし
原開発者: Kazuo Hasegawa et al. (2016)
日本語版: Originally Japanese; validated in Japan
利用時の推奨事項 dasc.jpに連絡して明確化。出典を明記

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 21 項目 + 導入質問 2 項目(A・B 項目、採点対象外)
  • サブスケール数: 6 領域に分類
  • 評価方式: 4 件法(1-4 点)、合計 84 点満点

評価領域詳細

1. 記憶機能 - 3項目

  • 近時記憶(財布・鍵の置き場所、5 分前の会話)
  • 遠隔記憶(生年月日)

2. 見当識 - 3項目

  • 時間見当識(日付・月)
  • 場所見当識(現在地)
  • 道順(帰宅経路)

3. 問題解決・判断力 - 3項目

  • 問題解決(ライフライン停止時の対処)
  • 計画立案(一日の計画)
  • 社会的判断力(季節・状況に応じた服装選択)

4. 家庭外 IADL - 3項目

  • 買い物
  • 交通機関利用
  • 金銭管理

5. 家庭内 IADL - 3項目

  • 電話
  • 食事準備
  • 服薬管理

6. 身体的 ADL - 6項目

  • 入浴、着替え、排泄
  • 整容、食事、移動

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: Cronbach's α = 0.90 以上
  • テスト再テスト信頼性: 高い相関を示す
  • 評価者間信頼性: 良好

妥当性

  • 感度・特異度: 認知症検出において良好な識別力
  • 基準関連妥当性: CDR (Clinical Dementia Rating) との高い相関
  • その他: 因子分析により構成概念妥当性確認

得点化・解釈

基本得点

  • 各項目 1-4 点で評価
  • 21 項目の合計点を算出(最高 84 点)

認知症スクリーニングの目安

  • 正常範囲: 31 点未満(認知症の可能性は低い)
  • 認知症疑い: 31 点以上(認知症の可能性あり)

重症度分類(31 点以上の場合)

  • 軽度認知症: 遠隔記憶・場所見当識・社会的判断力・身体的 ADL 項目がすべて 1-2 点
  • 中等度認知症: 上記項目のいずれかが 3-4 点
  • 重度認知症: 上記項目がすべて 3-4 点

実施上の注意点

対象者

  • 認知症が疑われる高齢者
  • 地域在住高齢者のスクリーニング対象者

評価者

  • 原則として粟田主一医師の研修を受けた専門職
  • 対象者をよく知る家族・介護者からの情報収集が重要
  • 一人暮らしの場合は本人への直接質問と観察による評価

制限事項

  • スクリーニング検査であり、確定診断には追加検査が必要
  • 本人のプライドを傷つけないよう配慮が必要
  • 身体機能障害による制限は備考欄に記載し、適切に評価

参考文献

  • 粟田主一, 杉山美香, 井藤佳恵, 他: 地域在住高齢者を対象とする地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート(DASC-21)の内的信頼性・妥当性に関する研究. 老年精神医学雑誌 2015; 26: 675-686