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Crowe分類 (Crowe 分類、クロウ分類)

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基本情報

正式名称: Crowe Classification

日本語名: Crowe 分類、クロウ分類

対象年齢: 成人(主に人工股関節置換術適応患者)

評価目的: 股関節形成不全分類

実施時間: X 線計測により約 5-10 分

開発背景

開発者: Crowe JF, Mani VJ, Ranawat CS

発行年: 1979 年

理論的基盤: 股関節 X 線像における大腿骨頭の上方偏位度による客観的評価

著作権・使用条件

原典論文は 1979 年発表で著作権保護期間を経過しており、分類基準自体は学術的に広く使用されている標準的評価法

パブリックドメイン
原開発者: Crowe JF et al. (1979)
日本語版: Japanese orthopedics use
利用時の推奨事項 自由に使用。引用

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: X 線計測による 3 つの主要計測値
  • サブスケール数: Group I-IV の 4 段階分類
  • 評価方式: 大腿骨頭の上方偏位度による百分率評価

計測項目詳細

1. 距離 A - 1項目

  • 涙痕線からの垂直距離
  • 両側涙痕を結んだ基準線から大腿骨頭頸部移行部下縁までの距離

2. 骨盤高 B - 1項目

  • 骨盤全高
  • 腸骨上縁から坐骨下縁までの垂直距離

3. 大腿骨頭直径 - 1項目

  • 変形のない大腿骨頭の最大直径
  • 正常時は骨盤高の約 1/5

信頼性・妥当性

信頼性

  • 検者間一致性: κ 値 0.82-0.92(優秀)
  • 検者内一致性: κ 値 0.86-0.95(優秀)
  • 測定の安定性: 2 次元 X 線による標準化された計測法

妥当性

  • 構成妥当性: 手術難易度と強い相関
  • 予後妥当性: 人工関節の長期成績と関連
  • その他: 治療方針決定に直結

得点化・解釈

基本計算式

  • 上方偏位度 = (距離 A ÷ 大腿骨頭直径)× 100%
  • 脱臼率 = (距離 A ÷ 骨盤高 B)× 100%

分類の目安

  • Group I: 50%未満の上方偏位(軽度亜脱臼)
  • Group II: 50-75%の上方偏位(中等度亜脱臼)
  • Group III: 75-100%の上方偏位(重度亜脱臼)
  • Group IV: 100%以上の上方偏位(完全脱臼)

実施上の注意点

対象者

  • 発育性股関節形成不全による二次性股関節症患者
  • 人工股関節置換術適応評価患者
  • 成人期以降の股関節形態異常患者

評価者

  • 整形外科専門知識を有する医師
  • 股関節 X 線読影に習熟した放射線科医
  • 標準化された計測手技の習得が必要

制限事項

  • 2 次元評価のため 3 次元的変形を完全には反映しない
  • 大腿骨頭の変形が高度な場合は計測が困難
  • 骨盤回旋による計測誤差の可能性

参考文献

  • Crowe JF, Mani VJ, Ranawat CS. Total hip replacement in congenital dislocation and dysplasia of the hip. J Bone Joint Surg Am. 1979;61(1):15-23