CliniScale 臨床評価スケール情報
CHA2DS2-VASc (CHA₂DS₂-VAScスコア)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
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基本情報
正式名称: CHA2DS2-VASc Score
日本語名: CHA₂DS₂-VAScスコア
対象年齢: 成人（主に18歳以上）
評価目的: 心房細動脳卒中リスク評価
実施時間: 5-10分
開発背景
開発者: Gregory Y.H. Lip, Robby Nieuwlaat, Ron Pisters, Deirdre A. Lane, Harry J. Crijns
発行年: 2010年
理論的基盤: 欧州心房細動調査データに基づく血栓塞栓症リスク因子分析
著作権・使用条件
European Society of Cardiology (ESC)
パブリックドメイン
商用利用
可
許諾
不要
料金
無料
研修
不要
原開発者: Lip (2010)
日本語版: Japanese guidelines
利用時の推奨事項
出典を引用
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 8項目
- サブスケール数: なし（単一スコア）
- 評価方式: 各項目1-2点の配点、最大9点
評価項目詳細
1. うっ血性心不全 - 1点
- 心不全の既往または現在の症状
2. 高血圧 - 1点
- 高血圧の既往または現在治療中
3. 年齢75歳以上 - 2点
- 75歳以上の高齢者
4. 糖尿病 - 1点
- 糖尿病の既往または現在治療中
5. 脳卒中・一過性脳虚血発作 - 2点
- 脳卒中またはTIAの既往
6. 血管疾患 - 1点
- 心筋梗塞の既往、末梢動脈疾患、大動脈プラークなど
7. 年齢65-74歳 - 1点
- 65-74歳の中高年者
8. 性別（女性） - 1点
- 女性（ただし、65歳未満で他のリスク因子がない女性は除く）
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: 各項目が独立したリスク因子として確立
- テスト再テスト信頼性: 高い再現性
- 評定者間信頼性: 客観的基準により高い一致率
妥当性
- C統計量: 0.606（CHADS2の0.572より改善）
- 純再分類改善: 9.2%（低リスク群の正確な同定）
- その他: CHADS2スコアより優れた層別化能力
得点化・解釈
基本得点
- 各項目の該当有無に応じて1-2点を加算
- 合計0-9点で評価
リスク分類の目安
- 低リスク: 0点（男性）、1点（女性、ただし65歳未満で他のリスク因子がない場合のみ） - 年間脳卒中発症率 0-1.3%
- 中等度リスク: 1点（男性） - 年間脳卒中発症率 0.8-2.1%
- 高リスク: 2点以上 - 年間脳卒中発症率 2.2%以上
抗凝固療法適応
- 0点（男性）、1点（65歳未満で他のリスク因子がない女性）: 一般的に抗凝固療法不要
- 1点（男性）: 抗凝固療法を考慮
- 2点以上: 抗凝固療法推奨
実施上の注意点
対象者
- 非弁膜症性心房細動患者
- 弁膜症性心房細動（リウマチ性、機械弁等）は対象外
評価者
- 医療従事者による評価が望ましい
- 患者の詳細な病歴聴取が必要
制限事項
- あくまで脳卒中リスクの予測ツール
- 出血リスクとの総合的判断が必要
- 個別の臨床状況を考慮した判断が重要
- 女性は一律に1点が加算されるが、65歳未満で他のリスク因子がない女性は低リスクとして扱われる
- 2024年のESCガイドラインでは、性別を除いたCHA₂DS₂-VAスコアの使用も提案されている
参考文献
- Lip GY, Nieuwlaat R, Pisters R, Lane DA, Crijns HJ. Refining clinical risk stratification for predicting stroke and thromboembolism in atrial fibrillation using a novel risk factor-based approach: the euro heart survey on atrial fibrillation. Chest. 2010;137(2):263-272.
- Camm AJ, et al. Guidelines for the management of atrial fibrillation: The Task Force for the Management of Atrial Fibrillation of the European Society of Cardiology (ESC). Eur Heart J. 2010;31(19):2369-429.