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CFS (臨床虚弱尺度)

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基本情報

正式名称: Clinical Frailty Scale

日本語名: 臨床虚弱尺度

対象年齢: 65 歳以上の高齢者

評価目的: 臨床的虚弱度評価

実施時間: 5 分程度

開発背景

開発者: Kenneth Rockwood らによるカナダ研究チーム

発行年: 2005 年(7 段階版)、2007 年(9 段階版に拡張)

理論的基盤: Canadian Study of Health and Aging (CSHA)

著作権・使用条件

原典:Kenneth Rockwood, et al. (2005) 日本語版:日本老年医学会 (2022 年改訂版)

情報なし
原開発者: Kenneth Rockwood et al. (2005)
日本語版: Japanese version (CFS-J) validated; translation by Working Group
利用時の推奨事項 Dalhousie Universityに許諾を求める。出典を明記

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 1 項目(9 段階選択)
  • サブスケール数: なし
  • 評価方式: 視覚的評価による 9 段階選択

各段階詳細

1. 非常に健康である

  • 年齢に関係なく強健で活動的、意欲的で健康状態は良好

2. 健康である

  • 症状はないが第 1 段階ほど健康ではない

3. うまく管理されている

  • 病気の症状はよくコントロールされているが定期的な運動以外は活動的ではない

4. 非常に軽度の虚弱がある

  • 日常生活に他者の助けは必要ないが、しばしば症状により活動が制限される

5. 軽度の虚弱がある

  • より明らかに動作が緩慢で、財政管理、交通手段、重い家事、服薬管理などのより高次の手段的日常生活動作に支援が必要

6. 中等度の虚弱がある

  • 屋外での全ての活動と家事の維持に支援が必要。屋内では階段昇降に問題があり、入浴に支援が必要で、着衣に最小限の介助が必要なことがある

7. 重度の虚弱がある

  • 身体的または認知的な理由により身の回りの世話が完全に他者に依存している。安定しており 6 か月以内に死亡する危険性は高くないように思われる

8. 非常に重度の虚弱がある

  • 完全に他者に依存し生命の終末期に近づいている。軽症疾患からも回復しそうにない

9. 人生の最終段階

  • 生命予後が 6 か月未満で、明らかに虚弱ではないその他の状態

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: 単一項目のため該当なし
  • 評定者間信頼性: 良好(適切な指導により向上)
  • テスト再テスト信頼性: 安定した患者では良好

妥当性

  • 予測妥当性: 死亡リスクと施設入所リスクを有意に予測
  • 併存妥当性: Frailty Index と高い相関 (r=0.80)
  • その他: 多次元的な虚弱の概念を反映

得点化・解釈

基本得点

  • スコア: 1 ~ 9 の整数値
  • 高いスコアほど虚弱度が高い

虚弱度の目安

  • スコア 1-3: 健康・良好な状態
  • スコア 4: 非常に軽度虚弱
  • スコア 5: 軽度虚弱(虚弱ありの閾値)
  • スコア 6: 中等度虚弱
  • スコア 7-8: 重度虚弱
  • スコア 9: 人生最終段階

臨床的意義

  • スコア 5 以上: 包括的高齢者評価の適応
  • スコア 5 未満: COVID-19 重症化リスク評価での一つの基準
  • 国際的使用: ICU 入室基準でも CFS「5 未満」が広く使用

実施上の注意点

対象者

  • 65 歳以上の高齢者を対象とする
  • 急性疾患により一時的に状態が変化している場合は発症前の状態で評価

評価者

  • 医療従事者による評価が推奨される
  • 患者の日常生活状況を把握している者が評価すべき
  • 初心者には分類樹(classification tree)の使用が有効

制限事項

  • アンケート形式ではなく臨床判断に基づく評価ツール
  • 認知症患者でも身体機能に基づいて評価可能
  • 急性期の状態変化時は慎重な解釈が必要
  • CFS における「Frailty」は現在日本で周知されている「フレイル」とは意味が異なることから、日本語版では「虚弱」と表現

参考文献

  • Rockwood K, et al. A global clinical measure of fitness and frailty in elderly people. CMAJ. 2005;173(5):489-95.
  • Rockwood K, Theou O. Using the Clinical Frailty Scale in allocating scarce health care resources. Can Geriatr J. 2020;23:254-259.