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CBCL (子どもの行動チェックリスト)

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基本情報

正式名称: Child Behavior Checklist

日本語名: 子どもの行動チェックリスト

対象年齢: 6-18 歳(CBCL 6-18 版)

評価目的: 小児行動問題評価

実施時間: 15-20 分

開発背景

開発者: Thomas M. Achenbach(バーモント大学)

発行年: 1991 年(初版)、2001 年(改訂版)

理論的基盤: 実証に基づく評価システム(ASEBA)

著作権・使用条件

本尺度の著作権は Thomas M. Achenbach(バーモント大学)にあり、日本語版は京都国際社会福祉センターが発行しています。問診票定義は教育・研究目的での参照として作成されています。

情報なし
原開発者: Thomas M. Achenbach (1991)
日本語版: Japanese version validated by Itani et al. (2001)
利用時の推奨事項 ASEBAに連絡して許諾取得

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 112 項目(問題行動項目)+ 1 項目(自由記述)
  • サブスケール数: 8 つのシンドローム尺度
  • 評価方式: 3 段階評価(0=あてはまらない、1=やや・時々あてはまる、2=よく・しばしばあてはまる)

8 つのシンドローム尺度詳細

1. 不安・抑うつ - 17項目

  • 孤独感、泣く、恐怖、完璧主義、愛されていない感覚、価値観の欠如、神経質、悪夢、過度の恐怖・不安、めまい、罪悪感、自意識過剰、不幸・悲しい・憂うつ、引っ込み思案、心配

2. 引きこもり・抑うつ - 6項目

  • 楽しめることがない、一人でいることを好む、話すことを拒む、秘密主義、内気すぎる、活動性が低い

3. 身体愁訴 - 7項目

  • 体の痛み、頭痛、吐き気、目の問題、皮膚の問題、胃痛、嘔吐(医学的原因が明確でない身体症状)

4. 社会性の問題 - 6項目

  • 大人への依存、他の子どもとうまくやれない、からかわれる、好かれていない、動きのぎこちなさ、年下との交流を好む

5. 思考の問題 - 15項目

  • 強迫観念、故意の自傷・自殺企図、被害妄想、幻聴、神経質な動き、体をほじる、公の場での不適切行為、性的行動の過度、強迫行為、幻視、睡眠時間の異常、不要物の蓄積、奇妙な行動・考え、睡眠中の異常行動

6. 注意の問題 - 9項目

  • 年齢不相応な幼さ、物事を最後まで終えられない、集中困難、落ち着きのなさ・多動、混乱・ぼんやり、白日夢・考え込み、衝動性、学業不振、不注意・注意散漫

7. 規則違反行動 - 16項目

  • 未成年飲酒、罪悪感の欠如、規則違反、問題のある仲間との交際、嘘・欺瞞、年上との交流志向、家出、放火、性的問題、家庭内窃盗、家庭外窃盗、汚い言葉、性への過度の関心、喫煙、学校欠席、薬物使用

8. 攻撃的行動 - 18項目

  • 言い争い、残酷・いじめ・意地悪、注目を引く行動、物の破壊、家庭での不従順、学校での不従順、嫉妬、喧嘩、人を殴る、叫ぶ、頑固・不機嫌・いらいら、気分の急変、すねる、疑い深い、他者をからかう、かんしゃく、人を脅す

主要統合尺度

1. 内在化問題 - 30項目

  • 不安・抑うつ、引きこもり・抑うつ、身体愁訴の 3 つのシンドローム尺度の合計

2. 外在化問題 - 34項目

  • 規則違反行動、攻撃的行動の 2 つのシンドローム尺度の合計

3. 総合問題 - 112項目

  • 全 8 つのシンドローム尺度の合計による全項目のスコア

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: クロンバック α 値 0.85-0.97(各尺度)
  • テスト再テスト信頼性: r=0.80-0.94(1 週間間隔)
  • 評定者間信頼性: r=0.93-0.96(保護者間)

妥当性

  • 感度: 約 80-85%(臨床群の識別)
  • 特異度: 約 85-90%(正常群の識別)
  • 構造的妥当性: 60 以上の文化圏で 8 シンドローム構造の妥当性確認済み
  • その他: DSM 診断基準との高い対応

得点化・解釈

基本得点

  • 各項目の得点(0-2 点)をシンドローム別に合計
  • T 得点(平均 50、標準偏差 10)に換算

問題レベルの目安

  • 正常域: 93 パーセンタイル未満(T 得点 64 以下相当)
  • 境界域: 93-97 パーセンタイル(T 得点 65-69 相当)
  • 臨床域: 97 パーセンタイル超(T 得点 70 以上相当)

主要指標の臨床的意義

  • 内在化問題: 不安、抑うつ、身体症状等の内向的問題(情緒的困難)
  • 外在化問題: 攻撃性、規則違反等の外向的問題行動(行動的困難)
  • 社会性の問題: 対人関係・社会的相互作用の困難(自閉症スペクトラム評価で重要)
  • 思考の問題: 認知・知覚の異常、精神病様症状(統合失調症様症状の評価)
  • 注意の問題: 集中力・多動性の問題(ADHD 評価で極めて重要)
  • 総合問題: 全ての問題行動の総合指標

実施上の注意点

対象者

  • 6-18 歳の児童・青年
  • 発達障害、行動問題、情緒問題の評価に使用
  • 精神科・小児科・教育分野で広く活用

評価者

  • 対象児をよく知る保護者または養育者
  • 過去 6 ヶ月間の行動を基準に評価
  • 客観的で継続的な観察が必要

制限事項

  • 診断確定のための単独使用は不適切
  • 他の情報源(教師、本人)との併用が推奨
  • Teacher Report Form (TRF) および Youth Self Report (YSR) との多情報源評価が理想的
  • 文化的・社会的背景の考慮が必要

参考文献

  • Achenbach, T. M., & Rescorla, L. A. (2001). Manual for the ASEBA School-Age Forms & Profiles. Burlington, VT: University of Vermont, Research Center for Children, Youth, & Families.
  • Ivanova, M. Y., Achenbach, T. M., Rescorla, L. A., et al. (2007). Testing the 8-syndrome structure of the Child Behavior Checklist in 30 societies. Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology, 36(3), 405-417.