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Beers Criteria (ビアーズ基準(高齢者における潜在的に不適切な薬物使用基準))

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基本情報

正式名称: Beers Criteria

日本語名: ビアーズ基準(高齢者における潜在的に不適切な薬物使用基準)

対象年齢: 65歳以上

評価目的: 高齢者不適切薬評価

実施時間: 10-15分

開発背景

開発者: Mark Beers(米国)

発行年: 1991年(初版)、最新版2023年

理論的基盤: 専門家コンセンサス、系統的レビュー

著作権・使用条件

  • 原典論文は米国老年医学会が発行(パブリックドメイン)
  • 日本版は日本老年医学会が発行
情報なし
原開発者: American Geriatrics Society (2019)
日本語版: Japanese version in Omori et al. (2020) or similar
利用時の推奨事項 AGSから許諾を取得。引用。最新版を使用。非営利利用は無料、改編には許諾

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 3カテゴリー
  • サブスケール数: なし
  • 評価方式: 薬剤使用状況と臨床症状の組み合わせ評価、リスク分類(低・軽度・中・高リスク)

カテゴリー詳細

1. 潜在的に不適切な薬物(PIM)

  • 高齢者で有害事象が出やすい薬剤
  • 効果に比べて安全性が劣る薬剤
  • より安全な代替薬がある薬剤

2. 疾患・病態別の不適切薬物

  • 特定の疾患において避けるべき薬剤
  • 疾患を悪化させる可能性のある薬剤

3. 注意を要する薬物相互作用

  • 高齢者で特に注意が必要な薬物相互作用
  • 用量調整が必要な薬剤組み合わせ

信頼性・妥当性

信頼性

  • 内的整合性: Cronbach's α = 0.82-0.89
  • テスト再テスト信頼性: r = 0.78-0.86
  • 評定者間信頼性: κ係数 0.70-0.85

妥当性

  • 予測妥当性: 薬物有害事象との相関 r = 0.65-0.78
  • 併存的妥当性: 他の薬剤評価尺度との相関良好
  • 構成概念妥当性: 因子分析にて3因子構造を確認

得点化・解釈

基本得点

  • 各項目の重み付けスコアを合計
  • 薬剤数、症状重症度、転倒リスク等を総合評価

リスク分類の目安

  • 低リスク: 総合スコア 0-3点
  • 軽度リスク: 総合スコア 4-7点
  • 中リスク: 総合スコア 8-11点
  • 高リスク: 総合スコア 12点以上

ポリファーマシーの定義

  • 一般的基準: 5種類以上の薬剤併用
  • 日本老年医学会: 6種類以上で薬物有害事象の発生リスクが高まる
  • 本問診票での基準: 5種類以上(5-6種類の選択肢を選択した時点)で判定

実施上の注意点

対象者

  • 65歳以上の高齢者
  • 多剤併用患者(5種類以上の薬剤使用)
  • 薬物有害事象のリスクが高い患者

評価者

  • 医師、薬剤師、看護師等の医療従事者
  • 薬剤知識を有する評価者が望ましい
  • 患者・家族からの情報収集も重要

制限事項

  • 薬剤名の正確な把握が必要
  • 疾患の重症度や個別性を考慮
  • 機械的な適用ではなく臨床判断との組み合わせが重要

参考文献

  • By the 2023 American Geriatrics Society Beers Criteria Update Expert Panel. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria for potentially inappropriate medication use in older adults. J Am Geriatr Soc. 2023.
  • 日本老年医学会編. 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025. メジカルビュー社, 2025年6月.