CliniScale 臨床評価スケール情報
BAI (ベック不安評価尺度)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
正確な情報については、必ず原典を参照してください。
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基本情報
正式名称: Beck Anxiety Inventory
日本語名: ベック不安評価尺度
対象年齢: 17-80 歳(研究では 12 歳以上でも使用実績あり)
評価目的: 不安症状評価
実施時間: 5-10 分
開発背景
開発者: Aaron T. Beck, Nathan Epstein, Gary Brown, Robert A. Steer
発行年: 1988 年
理論的基盤: 認知行動療法理論、不安症状の身体的・認知的・情緒的側面評価
著作権・使用条件
Beck Anxiety Inventory (BAI)は Pearson Assessments 社により著作権保護されている。
情報なし
商用利用
可
許諾
必要
料金
有料
研修
不要
原開発者: Aaron T. Beck et al. (1988)
日本語版: Japanese version validated by Kabuto et al.
利用時の推奨事項
Pearsonに連絡してライセンス取得。料金が高額な場合は代替を検討
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 21 項目
- サブスケール数: なし(単一尺度、ただし二因子構造が報告されている)
- 評価方式: 4 段階リッカート尺度(0-3 点)、過去1週間を評価
項目内容詳細
身体症状(主要)
- しびれ感やうずき、ほてり、足のふらつき、めまい、動悸、手の震え、発汗など
認知・情緒症状
- 最悪の事態への恐怖、コントロール喪失への恐怖、死への恐怖、恐れなど
パニック関連症状
- 窒息感、呼吸困難、失神感など
二因子構造
身体的因子 - 12項目
- しびれ、ほてり、ふらつき、めまい、動悸、不安定感、震え、顔の紅潮、発汗
認知的因子 - 9項目
- リラックス困難、恐怖、神経過敏、窒息感、コントロール喪失の恐怖、呼吸困難、死の恐怖、消化不良
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: Cronbach's α = 0.92
- テスト再テスト信頼性: r = 0.75(1 週間間隔)
妥当性
- 構成概念妥当性: Hamilton 不安評価尺度との中等度相関(r = 0.51)
- 弁別妥当性: Hamilton 抑うつ評価尺度との軽度相関(r = 0.25)
- 因子構造: 身体的因子と認知的因子の二因子構造が一般的
得点化・解釈
基本得点
- 各項目 0-3 点の合計(範囲: 0-63 点)
重症度の目安
- 最小限: 0-7 点
- 軽度: 8-15 点
- 中等度: 16-25 点
- 重度: 26-63 点
臨床的カットオフ
- 16 点以上: 臨床的に有意な不安(Beck & Steer, 1993)
実施上の注意点
対象者
- 17 歳以上の青年・成人
- 身体疾患のある患者では身体症状の重複に注意
- 高齢者では不安と抑うつの弁別が困難になる可能性
評価者
- 特別な訓練は不要(自己記入式)
- 結果解釈には臨床的判断が必要
制限事項
- 診断ツールではなく重症度評価ツール
- 身体症状に重点を置くため、身体疾患との鑑別が必要
- 認知的不安症状(心配、破局的思考など)の評価は限定的
- 不安障害のサブタイプ診断には適さない
- 15 項目中 21 項目が身体症状を評価するため、パニック障害での得点が高くなる傾向
参考文献
- Beck, A. T., Epstein, N., Brown, G., & Steer, R. A. (1988). An inventory for measuring clinical anxiety: Psychometric properties. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 56(6), 893-897.
- Beck, A. T., & Steer, R. A. (1993). Beck Anxiety Inventory Manual. San Antonio, TX: Psychological Corporation.