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ASA-PS (ASA 身体状態分類、ASA 術前身体状態分類)

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基本情報

正式名称: ASA Physical Status Classification

日本語名: ASA 身体状態分類、ASA 術前身体状態分類

対象年齢: 全年齢（新生児から高齢者まで）

評価目的: 手術リスク評価

実施時間: 5-10 分

開発背景

開発者: Meyer Saklad、Emery Rovenstine、Ivan Taylor（1940-41 年）

発行年: 1941 年（初期発表）、1963 年（ASA 正式採用）、1980 年（クラス 6 追加）、2014・2020 年（更新）

理論的基盤: 術前リスク評価の標準化

著作権・使用条件

アメリカ麻酔科学会（American Society of Anesthesiologists: ASA）による分類システム

情報なし
商用利用 不可
許諾 必要
料金 無料
研修 不要
原開発者: American Society of Anesthesiologists (1941); revised 2014
日本語版: Japanese version used in anesthesia guidelines
利用時の推奨事項 ASAに連絡して許諾取得。出典を明記

尺度構成

全体構造

  • 総項目数: 6 クラス（1-6）
  • サブスケール数: なし（単一分類）
  • 評価方式: 単一選択（1 つのクラスを選択）+ 緊急修飾子（E）

クラス詳細

1. クラス 1 - 正常で健康な患者

  • 健康で喫煙なし
  • 飲酒なしまたは最小限
  • 年齢に適した BMI
  • 主要臓器が良好

2. クラス 2 - 軽度の全身性疾患を有する患者

  • 現在喫煙、社交的飲酒、妊娠
  • 肥満（BMI 30-40）
  • コントロール良好な糖尿病・高血圧
  • 軽度の肺疾患

3. クラス 3 - 重篤な全身性疾患を有する患者

  • コントロール不良の糖尿病・高血圧
  • COPD、病的肥満（BMI ≥40）
  • 活動性肝炎、慢性腎疾患
  • 心筋梗塞・脳卒中既往（3 ヶ月以上前）

4. クラス 4 - 生命に関わる重篤な全身性疾患を有する患者

  • 心筋梗塞・脳卒中既往（3 ヶ月以内）
  • 継続的心筋虚血、重症弁膜症
  • 血液透析、敗血症、DIC

5. クラス 5 - 瀕死の患者

  • 破裂腹部大動脈瘤、多発外傷
  • 頭蓋内出血、多臓器不全

6. クラス 6 - 脳死患者

  • 臓器提供のための脳死患者

信頼性・妥当性

信頼性

  • 評定者間信頼性: 中等度（κ = 0.5-0.7 程度）
  • 制限: 評価者による判定のばらつきあり

妥当性

  • 感度: 約 74%（術後死亡率予測）
  • 特異度: 約 67%（術後死亡率予測）
  • ROC 曲線下面積: 約 0.736

得点化・解釈

基本分類

  • クラス 1: 低リスク（正常健康）
  • クラス 2: 軽度リスク（軽度疾患）
  • クラス 3: 中等度リスク（重篤疾患）
  • クラス 4: 高リスク（生命に関わる疾患）
  • クラス 5: 最高リスク（瀕死状態）
  • クラス 6: 脳死（臓器提供）

緊急修飾子

  • E: 緊急手術時に併記（例: ASA3-E）
  • 定義: 治療遅延が生命・身体への脅威を著しく増加させる場合

実施上の注意点

対象者

  • 麻酔・手術を予定される全患者
  • 年齢制限なし

評価者

  • 麻酔科医が最終判定
  • 術前評価時に暫定分類、麻酔管理日に最終決定
  • 機関特異的具体例の追加可能

制限事項

  • 単独では手術リスク予測に限界
  • 評価者間のばらつき
  • 年齢要素が含まれない
  • 手術種類・麻酔法は考慮されない

参考文献

  • Saklad M. Grading of patients for surgical procedures. Anesthesiology. 1941;2:281-4
  • Hurwitz EE, Simon M, Vinta SR, et al. Adding examples to the ASA-Physical Status classification improves correct assignments to patients. Anesthesiology 2017; 126:614-22

リンク

ASA 公式サイト StatPearls NCBI