AQLQ (標準化版喘息 QOL 質問票)
詳細情報
このアプリは、CliniScaleで提供している臨床評価スケールの内容を説明するものです。
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基本情報
正式名称: Asthma Quality of Life Questionnaire
日本語名: 標準化版喘息 QOL 質問票
対象年齢: 17-70 歳(成人版)、12 歳以上対応版(AQLQ12+)もあり
評価目的: 喘息QOL評価
実施時間: 4-15 分程度
開発背景
開発者: Elizabeth F. Juniper, Gordon H. Guyatt ら(McMaster University)
発行年: 1992 年(オリジナル版)、1999 年(標準化版)
理論的基盤: 患者の主観的体験に基づく機能的障害の評価
著作権・使用条件
AQLQ-S (Standardized Asthma Quality of Life Questionnaire) は Elizabeth Juniper らによって開発され、著作権は McMaster University(カナダ)に帰属。QOL Technologies Ltd.がライセンス管理を行っている。
尺度構成
全体構造
- 総項目数: 32 項目
- サブスケール数: 4 領域
- 評価方式: 7 段階リッカート尺度(7=制限なし、1=重度の制限)、過去2週間を評価
サブスケール詳細
1. 症状領域 - 12 項目
- 息切れ、胸苦しさ、咳、夜間覚醒
- 朝の症状、その他時間帯の症状
- 喘鳴、痰、疲労感、睡眠障害
- 集中力低下、体調不良
2. 活動制限領域 - 11 項目(標準化版)
- 激しい運動
- 軽度から中等度の運動
- 仕事関連活動
- 社会的活動
- 睡眠
- 家事
- 余暇活動
- 外出・買い物
- 重量物の運搬
- 急歩・階段昇降
- 天候による活動制限
3. 感情・心理領域 - 5 項目
- イライラ・怒り、心配・不安
- 欲求不満、恐怖感
- 喘息発作への恐怖
4. 環境刺激領域 - 4 項目
- たばこの煙、ほこり
- 強いにおい・臭気
- 大気汚染・天候変化
信頼性・妥当性
信頼性
- 内的整合性: クロンバック α = 0.95(全体)、各領域 0.85-0.95
- テスト再テスト信頼性: ICC = 0.82-0.96(2 週間間隔)
- 評定者間信頼性: 該当なし(自記式のため)
妥当性
- 構成概念妥当性: FEV1%予測値との相関 r = 0.20-0.30
- 併存的妥当性: SF-36 との相関、他の喘息特異的尺度との高い相関
- 応答性: 臨床的に意義のある変化(0.5 点以上)を検出可能
- 標準化版の妥当性: オリジナル版との相関 r = 0.77(活動領域)、r = 0.99(総得点)
得点化・解釈
基本得点
- 各領域得点:該当項目の平均値
- 総得点:全 32 項目の平均値
- 得点範囲:1.0-7.0
解釈の目安
- 臨床的に意義のある変化: 0.5 点以上の変化
- 重度の QOL 低下: 総得点 < 2.5
- 軽度の QOL 低下: 総得点 2.5-3.4
- 中等度以上の QOL: 総得点 ≥ 3.5
実施上の注意点
対象者
- 成人喘息患者(17-70 歳)
- 軽症から重症まで幅広い重症度に適用可能
- 認知機能に問題のない患者
評価者
- 自記式質問票のため特別な訓練は不要
- 回答に関する質問に対応できる医療従事者の配置が望ましい
制限事項
- 著作権保護により使用にはライセンス料が必要(研究用途は例外あり)
- 小児(17 歳未満)には別途 PAQLQ(小児版)の使用を推奨
- 急性増悪時の評価には適さない
- 標準化版では患者特異的活動の選択が不要で実施時間短縮が可能
参考文献
- Juniper EF, Guyatt GH, Epstein RS, et al. Evaluation of impairment of health related quality of life in asthma: development of a questionnaire for use in clinical trials. Thorax 1992; 47:76-83
- Juniper EF, Buist AS, Cox FM, et al. Validation of a standardized version of the Asthma Quality of Life Questionnaire. Chest 1999; 115:1265-1270